1-4.マナー・作法【参列者】

2025.04.30

お葬式に適したネイルの色やデザインと落とせない場合の5つの対処法

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お葬式のネイルについて、色やデザインに迷ったり、ネイルオフする時間がなく、どうしたらいいのか悩んだりしている方もいらっしゃるでしょう。

時代の変化とともに、最近の葬儀ではネイルに対する考え方も変わり始め、立場やネイルの種類によっては、そのまま参列しても問題ないとみなされつつあります。

そこで本記事では、お葬式のネイルはどうしたらいいのか、立場による考え方や、問題ないネイルの色・デザインについて解説します。

また、葬儀に不適切なネイルでも、ネイルを落とさずにできる対処法や、お葬式のネイルに関してよくある質問もご紹介しますので、参列にあたって、どうぞお役立てください。

お葬式・葬儀のネイルはどうしたらいい?

ネイルチップ

お葬式のネイルはどうしたらいいのか、まず基本的な知識として、知っておきたいマナーやその理由について解説します。

お葬式・葬儀はネイルをしないのが基本マナー

お葬式はマニキュアやネイルをしないのが基本マナーで、爪は本来の自然の状態のまま、衛生面や清潔感を重視して、短く切っておくのが古くからのしきたりです。

葬儀のためにネイルの色やデザインを検討している方は、ぜひ何もせずに自分の自然な爪のままで参列するようにしてください。

もしもマニキュアやジェルネイル、スカルプチュアネイルをしている場合は、ネイルオフして自然な爪の状態に戻すのが最良といえるでしょう。

一方で、近年はネイルを落とせないことを理由にお葬式への参列を断るよりも、きちんと最後のお別れをした方が良いという考え方も定着し始めている傾向にあります。

最新の調査結果によると、ネイルサロン業界では、2024年の倒産件数が22件と過去最多を記録し、ネイルサロンの市場規模は推計1390億円に上り、前年比16.3%増と拡大しました。

出典:「ネイルサロン」の倒産動向(2024年)(帝国データバンク)

その背景には男性の利用者の後押しがあったとも言われており、ネイルは10代・20代の若い方のみならず、30代・40代はもちろん、50代・60代の方々にも浸透しています。

理解者は増加傾向にあるとはいえ、やむを得ずネイルを落とせない場合でも、本来は除去するべきだというマナーをしっかりと認識しておくことが大切です。

お葬式・葬儀でネイルが不適切な理由とは?

お葬式でネイルがダメといわれるには理由があります。そもそも葬儀とは、故人を弔い、供養するための大切な儀式にあたるためです。

女性は薄化粧で参列し、髪型やネイルなどの身だしなみでは、清潔感や清楚感を重視します。葬儀の場ではお洒落をしないことが、参列者に求められる基本姿勢となっています。

前述のようにネイルに対して理解のある方もいる一方で、お葬式ではタブーとされてきた長い歴史があり、現代においてもマナー違反と捉える方が多いのが実態です。

故人のためにも、遺族や親族をはじめ、第三者に不快感を与えたり、周囲に迷惑をかけたりしないよう、ネイルについて適切に判断する必要があるといえるでしょう。

お葬式・葬儀のネイルの可否は立場によって判断されやすい

遺族と参列者

お葬式におけるネイルの可否は、喪主や遺族側の立場と、参列者側の立場とで異なる傾向があるため、それぞれの立場のマナーについて解説します。

遺族や親族側は四十九日までネイルをしない方が良い

お墓で供養するお坊さん

多くの方々が集うお葬式では、遺族や親族側は立場的に目立つため、身内や参列者から非常識とみなされないよう、あらかじめネイルオフしておいた方が無難です。

とくに、喪主や遺族は葬儀後も弔問客の来客応対や法事・法要があるため、忌明けを迎える四十九日法要が終わるまでは、ネイルを控えることをおすすめします。

仏教では、四十九日法要までの期間は、故人の成仏を祈る「忌中」にあたり、故人を偲んで供養する期間として行動を慎むという慣習があります。そのため、ネイルなどのお洒落も控えた方が良いといえるでしょう。

お盆、春と秋のお彼岸、一周忌などの法要・法事についてもネイルは避けた方が無難です。少なくとも三回忌までの法要では、喪服を着用して、ネイルはしないことをおすすめします。

参列者側のネイルは目立ちにくければ問題ないとみなされつつある

 

葬儀の参列者

近年のお葬式では、参列者側のネイルに対して寛容的な意見が増えています。シンプルで目立ちにくいネイルなら、そのまま参列しても問題ないとみなす向きもあります

急なお通夜では紺色やグレーの略喪服でも構わないとされているのと同じように、時代の変化に伴って、ネイルを落とす時間がないのは仕方ないと認識されやすい傾向にあるためです。

しかし、お葬式はさまざまな方が集まる場で、本来は参列者もネイルを落とすのが最良のマナーとされていることをよく理解し、故人や周囲へ失礼のないように心がけましょう。

シンプルで目立ちにくく、お葬式にそのまま参列できる具体的なネイルの色やデザインについては、次章にて解説しますので、ご確認ください。

お葬式・葬儀で問題ないネイルの色やデザインとは?

お葬式に適したネイル

急なお葬式でネイルオフする時間がなく、お通夜へ参列しなければならない場合、次のようなシンプルで目立ちにくいネイルなら、そのまま参列しても許容される傾向にあります。

  • 色はマット感のあるクリアや落ち着いたピンクやベージュ系のカラー
  • ネイルチップの長さはショートのみ
  • ネイルチップの形はシンプルなオーバルやラウンド
  • ネイルのデザインは単色かフレンチネイル

色はマット感のあるクリアや落ち着いたピンクやベージュ系のカラー

ナチュラルなネイル

艶の少ないマット感のあるクリアや、くすみのあるピンクやベージュ系など、自然な爪の色に近いカラーのネイルは目立ちにくいため、許容範囲とされています。

ただし、デコレーションやイラストなどを施している場合はネイルオフするか、後述にて解説する方法で対処して、自然な爪の風合いに近付ける必要があります。

ネイルの長さはショートのみ

ロングネイル_NG

自然な爪の長さに相当し、お葬式でも問題ないとみなされるネイルの長さは一般的にショートネイルに限られます

お葬式ではネイルの長さによって、作法に違和感が生じて周囲に不快感を与えるケースがあります。後述の注意点で解説しますので、よく読んで参考にしてください。

ネイルの形はシンプルなオーバルやラウンド

シャープなネイル_NG

つけ爪の場合でも、爪先が丸みを帯びたオーバルやラウンドのネイルチップ・ジェルチップなら、自然な爪の形状のため、第三者にとって違和感が生じにくいといえます。

一方で、爪の先端のカーブがシャープになったポイントや、特徴のあるスクエア・アーモンドなどのネイルチップはお葬式に不適切といえるでしょう。

ネイルのデザインは単色かフレンチネイル

 

フレンチネイル

ネイルのデザインは、単色または爪先だけにホワイトカラーや薄いピンク系のカラーを施すシンプルなフレンチネイルなら自然な爪に近いため、そのままで問題ありません。

ただし、フレンチネイルには種類があり、細いラインで描くスキニーフレンチネイルに限られます。

目立つフレンチラインや逆フレンチ、デコレーションなどを施している場合はお葬式にふさわしくなく、対処が必要になるため次章をご参照ください。

ネイルを落とす方法

ネイルオフ

ネイルを落とす方法はネイルサロンで行うか、自分自身でネイルオフするかの2通りです。

ネイルサロンで落とす

  • 相場費用:3,000円〜5,000円
  • 所要時間:30〜40分程度

ネイルサロンでネイルオフするには、上記のように費用と時間を要し、ネイルの種類によっては数時間かかる場合もあるため、お葬式の当日に訪れる際は注意が必要です。

葬儀の人数規模によっても異なりますが、お通夜は一般的に18時~19時頃に開始され、30分程度前から受付が開始されるため、時間には充分な余裕をみてください。

自分でネイルオフする

マニキュアは、コットンに除光液を染み込ませて拭うだけで簡単に除去できます。ジェルネイルは次の5つの手順で落としましょう。

  1. ネイルファイルでジェルネイルの表面を削る
  2. コットンにアセトンリムーバーを浸す
  3. コットンを爪に乗せてアルミホイルで巻いて15分程度放置する
  4. アルミホイルを外してジェルをはがす
  5. 爪の表面を整える

お葬式・葬儀でネイルを落とせない場合の5つの対処法(隠し方)

ネイルの爪を隠す方法

葬儀に参列する際、時間がないなどの理由でネイルを落とせない場合は、次の5つの隠し方があるため、おすすめの順序で詳しく解説します。ただし、ネイルの種類によっては仕上がりが不自然になるため、マナー違反になっていないかどうか、慎重に判断しましょう。

  1. ネイル用コンシーラーで隠す
  2. ネイルポリッシュ(マニキュア)で隠す
  3. ネイルシールで隠す
  4. 絆創膏で隠す
  5. フォーマル手袋を着用して隠す

①ネイル用コンシーラーで隠す

ネイルコンシーラー

最近はネイル専用のコンシーラーが市販されており、お葬式など特別な日だけネイルを隠すのに便利で、たいへんおすすめです。

マニキュアのような筆タイプのほか、100均ではペンタイプも市販されており、お湯に漬けることで簡単に剥がせます。

②ネイルポリッシュ(マニキュア)で隠す

ネイルポリッシュ(マニキュア)

ネイルの色やデザインに問題がある場合は、自然な爪の色合いに近いカラーのネイルポリッシュ(マニキュア)を上塗りして、目立たないように仕立てると良いでしょう。

ネイルポリッシュやマニキュアは、アセトンフリーの除光液を使用することで簡単に落とすことができます。

③ネイルシールで隠す

ネイルシール

ネイルは上からヌーディーなネイルシールを貼ることで隠すこともでき、100均でも市販されているため、費用を抑えてリーズナブルに対処することが可能です。

ただし、サイズが合わなかったり、シワになったりと、理想どおりに対処しにくい難点もあります。

④絆創膏で隠す

絆創膏

特定の指だけに目立つデコレーションをしている場合は、絆創膏を貼ってカバーするのも一つの方法です。

しかし、絆創膏は複数の指に使用するとかえって目立ってしまい、違和感が生じるため気をつけましょう。

⑤フォーマル手袋を着用して隠す

フォーマル手袋

黒いレースでできているお葬式向けのフォーマル手袋には、ネイルを隠せるように指先が布で覆われたタイプもあり、ネイル隠しに役立ちます。

しかし、お葬式では手袋を外さなくてはならない場面があり、手袋はあくまでも補助的な役割であることを知っておきましょう。

手袋を外さなくてはならないタイミングについては、次章で解説しますので、ほかの注意点と併せてしっかりと確認してください。

お葬式で気をつけるべきネイルの注意点

注意ポイント

お葬式ではネイルで気をつけなければならない2つの注意点があるため、ネイル隠しの措置をした方もきちんと読んでマナー違反にならないようご注意ください。

長いつけ爪はお焼香などのためにオフした方が良い

お焼香

ネイルにはさまざまな種類がありますが、お葬式では長いつけ爪のスカルプネイル・ネイルチップはオフして外すようにしましょう。

仏式の葬儀では、遺族や親族、参列者が見つめる中、お焼香を行わなければならず、不自然な手つきや爪に付着した抹香を気にする素振りは、周囲に不快感を与えてしまいます。

なお、お焼香は抹香を親指と人差し指と中指の3本指で摘んで、額に掲げて押しいただく作法を3回繰り返すのが基本マナーで、爪先で摘んだり爪ですくったりするのはマナー違反です。

フォーマル手袋は会食などで外さなければならない

通夜振る舞い

フォーマル手袋によりネイルを隠していても、次のようなタイミングでは手袋を外すのがマナーのため、フォーマル手袋を利用する際も必ずネイル自体の処置を行ってください

  • お焼香をするとき
  • 会食をするとき
  • 火葬場へ向かう出棺のとき
  • 遺骨の骨上げするとき

なお、お焼香では、席を立つ前や列に並んでいる間にあらかじめ手袋を外しておき、スムーズにお焼香ができるようにします。出棺時も手袋を外して合掌するのがマナーです。

お葬式での会食は、1日目はお通夜後の通夜振る舞い、2日目は火葬後や初七日法要後の精進落としがあり、参加する必要があるかどうか気になる場合は葬儀社へ確認しましょう。

お葬式・葬儀のネイルでよくある質問

よくある質問

お葬式のネイルでよくある質問をご紹介しますので、気になる項目があれば事前にチェックしておくと安心です。

家族葬ならネイルはそのままで良い?

家族葬

ネイルに対する考え方は三者三様で、故人との最後のお別れとなる葬儀では、家族葬であっても服装は喪服を着用し、ネイルはしないのが基本マナーとなっています。

近年は家族や親族のみなど、少人数で行うお葬式が主流となっており、気心知れた近親者だけの葬儀ならネイルは問題ないのではないかと考える方も多いでしょう。

お葬式には一般葬や直葬・火葬式などさまざまな種類があり、家族葬は全体の50%を占めている人気の葬儀形式です。

出典:【第6回】お葬式に関する全国調査(いい葬儀)

不信感により親族付き合いに亀裂が生じたり、先々まで文句を言われたりすると、嫌な気持ちになるのは自分自身でもあるため、ネイルはできるだけ除去するように努めましょう。

お葬式のネイルの色は黒でもいい?

黒いブラックネイル

お葬式は喪服や靴やバッグなど、黒いアイテムを多く使用しますが、ネイルに関しては黒は厳禁で、黒いネイルでコーディネートする必要はありません。

黒いネイルはお洒落感が強く、かえって失礼にあたるため避けるようにしてください。

透明のクリアネイルなら問題ない?

透明のクリアネイル

お葬式では金具の付いた靴や艶のあるエナメルのパンプスを避けるように、光るアイテムを避けるのがマナーで、ネイルにおいても艶のあるクリアネイルはふさわしくありません

どうしてもネイルをしなければならない事情がある方は、艶を抑えたマットネイルやマットトップコートで自然な爪に仕上げるようにすると良いでしょう。

お葬式のネイルはパールならデコレーションしてもいい?

ネイルのデコレーション

お葬式のネイルでは、パールを含めて一切デコレーションをしないのがマナーで、ストーンやスワロフスキーやホログラムなどはマナー違反になるため避けてください。

光るラメの入ったネイルや、マーブルやグラデーションなどのデザインもタブーとなりますのでご注意ください。

ペディキュアはそのままでもいい?

ペディキュア

お葬式では黒いストッキングを着用しますが、遺族や親族は靴を脱いで控室で待機をするのが一般的のため、透ける場合はコンシーラーやネイルポリッシュやマニキュアで隠しましょう

一般の会葬者は靴を脱ぐ機会がなく、お葬式では夏場でもつま先の出ないパンプスを履くため、そのままでも問題ありませんが、気になる場合は隠すようにしてください。

まとめ:お葬式・葬儀のネイルはオフが基本!落とせない場合は5つの対処法がある

サービス案内

お葬式のネイルはどうするべきか、そのまま参列しても問題ない立場や色とデザイン、ネイルオフできない場合の5つの対処法や注意点を解説しましたが、まとめると次のとおりです。

  • お葬式のネイルはオフするのが最良だが、一般参列者側の立場で急なお通夜や葬儀・告別式に参列する際にネイルが落とせず、自然な爪に近いネイルならそのまま参列しても問題視されにくい。
  • ネイルを落とせない場合は5つの対処法があり、ネイル用コンシーラー、ネイルポリッシュやマニキュア、ネイルシール、絆創膏、フォーマル手袋のいずれかで隠すと良い。
  • お葬式のネイルには注意点があり、お焼香で失礼にならないよう、長いつけ爪のスカルプネイルはオフした方が良く、フォーマル手袋はお焼香や出棺、会食時に外さなければならない。

お葬式ではネイルのみならず、服装や髪型など迷うことが多くあると思いますが、恥ずかしい思いをしたり、周囲へ迷惑をかけたりしないよう、正しい知識を知ることをおすすめします。

北のお葬式では、北海道の各地域のお葬式を承っており、喪主や遺族の方はもちろん、葬儀にあたっては参列者の皆さまからのご質問やご相談にも一つひとつ対応しています。

お葬式の準備から葬儀後の法事・法要のマナーやご供養まで、役立つ知識や便利なサービスをお届けしていますので、お困りごとがございましたらお気軽にお問い合せください。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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