1-2.葬儀の種類・流れ

2025.06.30

葬儀の受付の流れと5つの注意点!受付係の準備や手順とマナを解説

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葬儀へ参列するときは、まず受付を行わなくてはなりませんが、どのような流れなのかがよく分からず、正しい手順について気になる方もいらっしゃるでしょう。

葬儀の受付の仕方にはマナーがあり、受付係を担当する方はもちろん、参列者にも気をつけなければならない注意点があるのをご存知でしょうか。

そこで本記事では、葬儀の受付について、役割や必要性を解説のうえ、受付係の決め方や準備方法と、参列者と受付係の受付の流れを分かりやすくご紹介します。

挨拶の仕方、香典や返礼品の授受で交わす言葉などのマナーから、葬儀の受付でよくある質問までご紹介しますので、葬儀へ参列する方や受付係を担当する方はぜひ参考にしてください。

葬儀の受付とは?

葬儀の受付

葬儀の受付とはどのようなことをいうのか、役割や必要性と、受付係の担当の決め方などについて、次の順序でポイントを押さえて解説します。

  • 葬儀受付の役割と重要性
  • 家族葬や密葬では受付係がいないケースもある
  • 葬儀で受付係が必要な日程
  • 葬儀の受付係は誰がする?受付担当の決め方

葬儀受付の役割と重要性

お葬式で受付をするのには理由があり、弔問や参列する方を出迎え、芳名帳への記帳や香典の受け取り、会場への誘導や返礼品の引き渡しなどを行うためです。

葬儀の受付係には、喪主や遺族がお葬式で故人とのお別れに集中できるようにする役割があり、参列者が快適かつスムーズに会葬できるようサポートしなければなりません。

つまり、お葬式の受付係は喪主や遺族に代わる重要な窓口役でもあり、葬儀を円滑に遂行するための大切な役割を担います。

家族葬や密葬では受付係がいないケースもある

参列者の少ない家族葬や密葬では遺族や葬儀スタッフが受付係を担う場合や、直葬や火葬式では受付係が存在しないケースもあり、葬儀の受付係は必ずしも必要なわけではありません

お葬式には種類があり、最新の調査によると、昔ながらの一般葬よりも家族葬を行うご家庭が圧倒的に多く、葬儀の種類にはお通夜を省略する家族葬の一日葬などもあります。

  • 1位:家族葬(50.0%)… 30名以下が目安の葬儀
  • 2位:一般葬(30.1%)… 会葬者を無制限に招く葬儀
  • 3位:一日葬(10.2%)… お通夜を省略した家族葬
  • 4位:直葬・火葬式(9.6%)… 葬儀を省略して火葬のみ
    出典:【第6回】お葬式に関する全国調査(いい葬儀)

家族葬や一日葬など少人数のお葬式では、あらかじめ参列者が把握できていることが一般的のため、受付係を設ける必要がないといえるでしょう。

一方で、家族葬では故人の友人・知人、会社関係者などを招くケースもあるため、葬儀の受付係をどうするべきかお悩みの場合は、喪主や葬儀社へ相談するのがおすすめです。

葬儀で受付係が必要な日程

お葬式はお通夜と葬儀・告別式の2日にわたって行われるため、一般的に受付係が必要な日程は2日間で、時間帯は基本的に受付開始前から葬儀終了後までとなります。

参列者の人数状況によっては、お通夜のみとするケースもありますが、受付係の手伝いを頼まれた際は基本的に2日間と心得て、自分自身のスケジュール調整に注意しましょう。

もし、どうしても都合が悪い場合には、あらかじめ申し出て、代理の方を検討してもらうなど、人数調整ができるようにしてください。

葬儀の受付係は誰がする?受付担当の決め方

葬儀の受付係は葬儀の規模によって必要人数が異なり、親族で担当する場合は故人の孫やその配偶者、いとこなど、3親等以上の血縁関係が遠い親族が請け負うケースが多いです。

そのほか、喪主や遺族にとって信頼のできる故人の友人・知人や会社関係者、近所の方などが担当する場合も多く、喪主や遺族の意向によっては葬儀スタッフへ依頼する場合もあります。

なお、数百名など大勢の参列者が集う葬儀では、親族・会社関係・一般などと受付窓口を分類して設置するケースもあり、その際は受付係が複数名必要です。

葬儀の受付係の業務内容

遺族と参列者

葬儀の受付係の業務内容は、喪主や遺族の代わりに参列者を出迎えて、会場へのスムーズな誘導と会葬者の情報を取りまとめることにあり、具体的には次のような項目です。

  • 参列者の出迎え:葬儀の参列者を迎えて挨拶をする
  • 芳名帳への記帳:芳名帳への記帳を依頼して住所・氏名などを記入してもらう
  • 香典の受け取り:香典を受け取り金額を記録して一時的に管理する
  • クローク:上着や手荷物の一時預かりをする
  • 斎場の案内:お焼香への誘導やトイレ・控室などの位置を案内する
  • 返礼品の引き渡し:返礼品を準備して参列者へ手渡す
  • その他:電報や供物の受け取りや会計係・案内係・葬儀スタッフなどとの連携

葬儀の受付係は、「受付台の前に立って記帳をしてもらうだけ」という比較的簡単な業務内容のイメージがある方も多いでしょう。

しかし、故人と縁のある参列者の中には、初めてお葬式へ参列する方や、足の悪い高齢者の方などもいらっしゃるため、誰もが安心して会葬できる参列者への気遣いが求められます

なお、北のお葬式がサービスを提供している北海道エリアでは、一般的に参列者による芳名帳への記帳は行いません。

葬儀の受付係の事前準備

芳名帳

葬儀の受付係として必要な事前準備について、次の4つのポイントを解説します。

  • 服装や身だしなみの準備
  • 集合時刻の確認
  • 葬儀の流れと葬儀場の施設の把握
  • 受付用具の準備

服装や身だしなみの準備

葬儀の受付係の服装は、一般的に喪服を着用するのがマナーで、男性は漆黒のブラックスーツ、白い無地のワイシャツと黒いネクタイ、ベルト、靴下と靴を着用します。

女性の場合は、漆黒のワンピースやアンサンブルの喪服を着用し、黒いストッキングと3cm程度のヒールのパンプスを履くのが一般的です。

集合時刻の確認

葬儀の受付係を頼まれた方は、あらかじめ喪主へ集合時間を確認して、早めに葬儀場へ到着する必要があります。

一般的に葬儀の受付開始時間は葬儀開始時間の30分〜1時間程度前となるため、受付係は事前準備のため、受付時間の1〜2時間前に式場へ到着しておくのが目安です。

葬儀の流れと葬儀場の施設の把握

受付係は、参列者からさまざまなことを質問されやすい立場のため、葬儀場へ到着したらあらかじめ次のような事項を確認して即答できるように準備しておきます。

  • 葬儀の開式と終了の時刻
  • 葬儀の流れ
  • 会葬者のお焼香からお帰りまでの導線
  • 葬儀場の施設の位置(トイレ・控室・自販機など)

受付用具の準備

受付台のテーブルには、参列者がスムーズに受付からお焼香と返礼品の受け取りを行えるよう、事前に次のような受付用具の準備をしておく必要があります。

  • 芳名帳
  • 切手盆(香典受け)
  • 筆記用具(黒の筆ペン・ボールペンなど)
  • 名刺受け
  • メモ帳
  • 電卓
  • 返礼品の引換券や返礼品

参列者の人数や式場のスペースなどよっては、お香典を集計する会計係や返礼品係を受付係が兼ねる場合もあり、その際は電卓や返礼品の準備も必要です。

参列者がいることを想定して、事前に記帳の依頼や香典の受け取り、お焼香の案内やお返し物を手渡す流れを実際にシミュレーションをしておくと安心です。

葬儀の受付の流れと手順

香典と芳名帳

葬儀の受付に際して、受付係と参列者の双方が分かりやすいよう、一連の流れや手順について解説します。

  1. 受付での挨拶
  2. 香典の授受
  3. 芳名帳への記帳
  4. 返礼品の引換券や返礼品の授受
  5. 会場の誘導案内
  6. クロークの利用
  7. 受付終了後の受付係の対応

①受付での挨拶

参列者は斎場へ到着したら、まず受付で「このたびはご愁傷さまでございます(お悔やみ申し上げます)」と挨拶して一礼します。

受付係は「ご参列いただきましてありがとうございます(お越しいただきありがとうございます)」と遺族に代わって会葬への感謝の言葉を伝えます。

②香典の授受

参列者は香典を袱紗(ふくさ)から取り出して袱紗の上に香典袋を乗せて、「どうぞお納めください」と差し出し、受付係は「お預かりいたします」と、両手で受け取って一礼します。

香典は受付で袱紗から出して、受付係から読める方向に向けるのがマナーで、香典を乗せる切手盆がある場合は切手盆の上に差し出しましょう。

地域によっても異なりますが、北海道では香典金額を記入した領収書を発行するのが一般的のため、受付係は間違えのないよう金額を記入してお渡しください。

③芳名帳への記帳

受付係が「ご記帳をお願いします」と、芳名帳や芳名カードへの記入を促したら、参列者は筆記用具を手に取り、項目に沿って自分の氏名や住所や連絡先を記帳します。

芳名帳へは喪主や遺族がどこの誰が参列したのかを把握しやすいように記帳しますが、香典返しを後返しで用途する場合もあるため、郵便番号や電話番号もしっかりと記入してください。

また前述した通り、北海道エリアでは一般的に、参列者による芳名帳への記帳は行いません。

④返礼品の引換券や返礼品の授受

葬儀の参列者は会葬御礼や香典返しの品物を受け取りますが、葬儀によっては先に引換券をもらい、帰りに品物と交換するケースもあります。

返礼品を渡す受付係は「こちらをお受け取りください」と両手で返礼品を渡し、受け取る参列者は「ありがとうございます」と返答するのが一般的です。

⑤会場の誘導案内

受付係は「会場はあちらになります(お焼香をお願いします)」と、式場の方向へ参列者を誘導します。

参列者は式場で葬儀の席へ着席しますが、お焼香のみを行う方は、案内係や葬儀スタッフの誘導に従って列に並んで順番を待ちましょう。

⑥クロークの利用

受付にクロークがあればコートなどの上着や手荷物を預けることも可能なため、参列者は葬儀の席やお焼香で邪魔にならないように積極的に活用してください。

クロークでは番号札などを渡されるため紛失に注意して、女性はセレモニーバッグのみを携帯し、男性は数珠やハンカチなどの必需品をしっかりと身につけましょう。

⑦受付終了後の受付係の対応

受付係は香典を会計係へ渡して集計を引き継ぎますが、葬儀によっては芳名帳への香典金額の記入や集計業務などをサポートします。

一般的には葬儀の終盤に受付係や会計係が交代でお焼香をして、最後に芳名帳や香典を丁寧にまとめて遺族へ手渡す流れです。

葬儀の受付のマナーと5つの注意点

注意ポイント

葬儀の受付では気をつけるべきマナーがあるため、次の5つの注意点をよく読んで、マナー違反にならないようにしましょう。

  1. 服装や身だしなみに気をつける
  2. 受付では適切な言葉遣いを選ぶ
  3. 忌み言葉を使用しない
  4. 失礼のない接客マナーを意識する
  5. 葬儀場での行動や言動に気をつける

①服装や身だしなみに気をつける

葬儀の受付係は遺族に代わって挨拶をする立場となるため、清潔感を意識し、参列者も周囲の方々へ迷惑にならないように葬儀にふさわしい身だしなみにしましょう。

受付では挨拶のお辞儀をしますが、葬儀ではお焼香や黙祷など頭を下げる機会が多いため、髪型が乱れないよう、長い髪は黒いゴムで一つ結びかお団子結びにするのがマナーです。

下記の記事では、葬儀の際の髪形について詳しくご紹介していますので、気になる方は是非ご確認ください。

【関連記事】お葬式に最適な髪型は?男女別や子どもの身だしなみとマナーや注意点

受付では手元も注目されやすいため、とくに受付係はネイルをオフして爪を短く切っておくことも大切なポイントです。

②受付では適切な言葉遣いを選ぶ

受付での挨拶、香典やお返し物の授受、記帳の声がけなど、とくに受付係はマナーが問われやすい立場のため、タイミングごとの言葉遣いを予習しておくのがおすすめです。

タイミング 受付係 参列者
挨拶 お越しいただきありがとうございます このたびはお悔やみ申し上げます
香典の授受 お預かりします お納めください
記帳の依頼 ご記帳をお願いします 承知しました
返礼品の授受 どうぞお納めください ありがとうございます
帰宅時 お疲れ様でございました ありがとうございました

参列者は受付で「こんばんは」などと挨拶することも間違いではなく、「ありがとう」とフレンドリーな言葉遣いをしてもとくに問題はありません。

その一方で、葬儀の受付係は「いらっしゃいませ」など、場違いな言葉を使用するのはマナー違反となるため、くれぐれも気をつけてください。

③忌み言葉を使用しない

受付係と参列者が親戚同士や親しい関係のときに軽く対話をするケースもあると思いますが、葬儀では次のような忌み言葉を避けるのがマナーです。

  • 死を連想させる言葉:「亡くなる」「死亡」「死別」など
  • 不幸を連想させる言葉:「苦労」「終わり」「最後」など
  • 重ね言葉:「再び」「たびたび」「次々」など

忌み言葉は、受付のみならず、お通夜や葬儀・告別式を通してお葬式で使ってはいけない言葉となるため、基礎知識としてしっかりと覚えておきましょう。

下記の記事では忌み言葉について詳しく解説していますので、気になる方は是非ご確認ください。

【関連記事】お葬式のNGワード(忌み言葉)を知ることは大人のマナー

④失礼のない接客マナーを意識する

葬儀の受付係は、基本的に指先を揃えた手つきを意識し、香典の受け取りや返礼品を渡すときは必ず両手で丁寧に取り扱います。

トイレや式場など、場所を案内する際にも人差し指による指差しではなく、4本指をしっかりと揃えて親指を添えて「あちらでございます」と示し、快い接客マナーを意識しましょう。

⑤葬儀場での行動や言動に気をつける

葬儀場では受付やロビーで友人・知人などと対面するケースや、受付係同士で話す機会があると思いますが、遺族や参列者が不快な思いをしないように行動や言動を慎みましょう

時間にゆとりがあっても葬儀場では規定の場所以外での携帯電話の利用を控え、葬儀中はマナーモードではなくバイブ音などがしないよう電源を切っておくことも大切なマナーです。

葬儀の受付でよくある質問

よくある質問

葬儀の受付に関してよくある質問をご紹介しますので、気になる項目があればチェックしておくと安心です。

香典辞退をするときの受付は?

家族葬では香典辞退により遺族が香典を受け取らないケースもあり、あらかじめ葬儀の案内文で周知しておくことが一般的ですが、万全ではないときは受付でお断りすることも可能です。

葬儀社へ依頼すると受付に案内板を設置してくれるケースがあるほか、受付係は「故人の遺志によりお香典は辞退させていただいております」と丁重にお断りします。

なお、葬儀で遺族側が香典辞退をしている際は、参列者は押しつけることなく、香典を渡さないのが正しいマナーです。

葬儀の受付で渡す香典金額はいくら?

葬儀の受付で渡す香典の金額は地域や個人の収入などにより異なりますが、一般的には故人との関係性によって次のような価格が相場金額となっています。

  • 両親:3〜10万円
  • 祖父母:1〜3万円
  • 兄弟姉妹:3〜5万円
  • 親戚:1〜3万円
  • 一般参列者:5千円

葬儀で供花や供物を出すときは受付で精算するの?

葬儀で供花を申し込む際は、事前に葬儀社へ注文することをおすすめします。支払いについてはWEB決済や、後日振り込む場合などがありますが、当日精算に対応している葬儀社であれば受付で、「供花(供物)の清算をしたいのですが…」と申し出てください。

なお、親族の場合は喪主が申し込みや立て替え払いをするケースが多いため、喪主へ確認のうえ清算しましょう。

まとめ:葬儀の受付は事前に流れと5つの注意点を確認してマナーを守りましょう!

葬儀の身だしなみ

葬儀の受付について、役割と受付係の決め方や業務内容の基礎知識と、参列者と受付係の流れや手順、気をつけるべきマナーや注意点をご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。

  • 葬儀の受付係には、喪主や遺族に代わって参列者を丁寧に迎える役割があり、参列者の人数によって複数名の受付係が必要な場合もあれば、少人数の家族葬では必要ないケースもある。
  • 葬儀の受付の流れは、①受付での挨拶→②香典の授受→③芳名帳への記帳→④返礼品の引換券や返礼品の授受→⑤会場の誘導案内→⑥クロークの利用で、受付係は受付終了後に会計係と交代でお焼香をして香典を遺族へ渡す。
  • 葬儀の受付係は、服装や身だしなみや適切な言葉遣いに注意して、忌み言葉を使用せずに失礼のない接客マナーを意識し、行動や言動に気をつける。

北のお葬式では、北海道一円の葬儀を承っている葬儀社として、葬儀に関するご質問やご相談を年中無休365日24時間受け付けております。

お葬式は地域や葬儀形式、人数規模などに応じてさまざまなスタイルがあるため、受付係以外にも北海道の葬儀に関して気になることがございましたらぜひお気軽にお問い合せください。

 

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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