永代供養墓にはどんな種類があって、具体的に何がどのように違い、費用はどのぐらいの差があるのか、気になる方は多いでしょう。
近年は昔ながらの墓石のお墓よりも、樹木葬や納骨堂といった永代供養墓が人気を集めています。
しかしながら、永代供養墓は種類によって特徴があり、後々まで後悔をしないためには、メリットとデメリットや費用について、比較検討のうえ決定することが重要です。
そこで、永代供養墓の種類ごとの特徴や費用について、分かりやすくまとめて解説します。
さらに、永代供養墓の選び方のポイントや、永代供養墓に関してよくある質問までご紹介しますので、より良いお墓選びの参考にお役立てください。
目次
永代供養墓とは?
永代供養墓とは、遺骨の所有者に代わって、お墓や遺骨の管理を霊園や寺院へ行ってもらえる仕組みのことをいいます。
お墓購入に関する調査結果によると、最近は墓石の一般墓よりも樹木葬や納骨堂などの永代供養墓が人気となり、約7割の方々が永代供養を選んでいることが分かりました。
出典:【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向
永代供養墓には様々な種類があり、選び方によっては土地代や高価な墓石代が不要となるため初期費用が安くなるうえ、お墓のメンテナンスやお手入れの必要がなく、家族に負担がかかりません。
さらに、永代供養墓の多くは生前の申し込みも可能で、継承者となる子どものいないご夫婦や、身寄りのいないおひとりさまの方も申し込みができます。
他人に迷惑をかけず、好きな地域やお好みのお墓のタイプを選択できるのも、永代供養墓の大きな魅力の一つです。
永代供養墓の種類は6つある
永代供養墓には、次の6種類があるためそれぞれの特徴について解説します。
種類 | 特徴 |
①個別墓 | 単独の墓石を使用するお墓 |
②合祀墓・合葬墓 | 多くの遺骨を一緒に土へ埋葬する |
③集合墓 | 特定の場所へ遺骨を一斉に保管 |
④個別安置墓 | 納骨場所が仕切られたお墓 |
⑤樹木葬 | 樹木や草花を墓標とし自然環境へ納骨する |
⑥納骨堂 | 屋内で遺骨を保管する施設 |
それぞれの種類の特徴について、知っておきたいポイントをまとめてご紹介しますので、お気に入りの永代供養墓の種類選びにお役立てください。
個別墓
個別墓の永代供養墓は、従来のお墓のように墓石を使用したお墓です。故人の尊厳を守り、完全に単独で利用できることが最大のメリットです。
一律で同じ形状の墓石を陳列する場合もあれば、縦型の和型や横型の洋型のほか、自分でデザインした墓石をシンボルとして、自由に建立できるケースもあります。
また、家名や氏名、亡くなった没年月日をはじめ、イラストや好きな言葉などを彫刻できるケースも多く、家族や夫婦の絆を形にできることも魅力の一つといえるでしょう。
お墓参りにおいても、対面してゆっくりと故人へ想いを馳せることができる一方で、永代供養墓の中では割高となり、後々の管理費が必要になるケースが多いです。
合祀墓・合葬墓
合祀墓(ごうしぼ)や合葬墓は合同墓や共同墓とも呼ばれ、多くの人たちの遺骨と一緒に土に還して埋葬する方法で、費用が安いことが大きなメリットです。
しかし、合祀された遺骨は二度と手元へ取り戻すことができません。
永代供養では気持ちの整理をつけるためにも、しばらく遺骨を保管して、一定期間が過ぎてから合祀するケースが一般的となっています。
身寄りのない方や、生活保護などで埋葬費用の捻出にお困りの方のほか、不要なお墓を解体撤去する墓じまいで利用する方が多く、合祀は最終的な遺骨の在り方ともいえるでしょう。
最初から合祀墓や合葬墓を選択する際は、後々になって後悔をしないよう、くれぐれもご注意ください。
集合墓
集合墓とは、骨壺や骨箱に入った複数の遺骨を並べて保管する石材でてきた収納施設のことをいい、一般的に墓地や寺院の一角にある永代供養墓です。
正面の香炉が設置された場所でお参りする仕組みになっており、遺骨の置かれた施設の内部へ入ることはできません。
そのため、1ヶ所しかお参り場所がない場合は、お盆やお彼岸の時期は混雑してゆっくりお参りできないケースがあるため注意しましょう。
なお、集合墓へ納骨をした遺骨は、一般的に一定期間後、合祀されるようになっており、永代供養墓や納骨プランによって保管年数や料金が異なります。
個別安置墓
個別安置墓は納骨壇などとも呼ばれ、個人や夫婦や家族など、申し込み単位で遺骨の収納場所が区切られた、屋外にある石材でできた永代供養墓です。
石材の蓋や扉へは、家名や故人の名前、絵柄などを彫刻できるケースも多々あり、個別墓よりも安く、対面して手を合わせることができるのがメリットとなっています。
ロッカー型では納骨場所によって料金プランが異なることが多く、一般的にお参りしやすい目線の高さの場所は人気がある一方で割高となり、最上段や最下段は安価です。
費用は個別安置の期間や納骨できる人数などによっても異なるため、利用条件やプラン内容をよく確認しましょう。
樹木葬
樹木葬とは、シンボルとなる樹木や草花のもとに納骨する永代供養墓のことをいい、とくに関東や関西の都心部では癒やされる環境の永代供養墓として人気を集めています。
霊園や寺院などに施されたガーデニング風の樹木葬もあれば、北海道など地域によっては本格的に森林へ散骨する方法もあり、種類や料金プランも豊富です。
基本的には、土へ合祀や散骨によって埋葬するタイプと、個別に骨壺や骨箱で納骨するタイプとがあり、自由に墓石を建立できるケースもあります。
一方で、個別タイプでは管理費が必要となる場合や一定期間後に合祀されるケースもあるため、利用条件まで確認しましょう。
納骨堂
納骨堂には、ロッカー型、仏壇型、位牌型、自動搬送式などのさまざまな形状があり、室内にあることが最大の特徴です。
季節や天候に左右されることなく、いつでもお参りがしやすいため、とくに雪国の北海道では定番人気の永代供養墓として親しまれています。
建物の維持管理として一般的には年間管理費や護持費が必要なケースが多い一方で、1名単位から複数名が納骨できるタイプなど、料金プランはさまざまです。
初期費用やお参りのルールも幅広いため、実際に現地を比較検討して、後々まで快適に利用できる納骨堂を選択しましょう。
永代供養墓の種類による費用相場と内訳
永代供養墓は、種類によって次のように相場費用が異なります。
- 個別墓:約80〜150万円
- 合祀墓・合葬墓:約5〜30万円
- 集合墓:約20〜60万円
- 個別安置墓:約50〜100万円
- 樹木葬:約20〜100万円
- 納骨堂:約20〜150万円
永代供養墓の費用が幅広い理由
同じ種類であっても永代供養墓の費用が幅広いのには、主に次のような5つの理由があります。
- 特定区画や墓石を使用するかどうか
- 個別に遺骨を納骨するかどうか
- 納骨できる人数が多いかどうか
- 施設や設備の維持費用が費用かどうか
- お寺の格式が高く檀家かどうか
とくに、複数名を永代供養する際は、トータル金額まで確認することが費用を抑えるうえで重要です。
1名なら安い永代供養墓でも、大勢を埋葬・納骨すると割高になるケースもあるため、とくに墓じまいではご注意ください。
永代供養墓の費用内訳
永代供養墓には、次のような費用内訳があります。
- 永代供養料
- 墓石代・彫刻代
- 納骨手数料
- 管理費・護持費
- 諸経費(登録料・粉骨代)
- お布施
申し込む前に品目内訳とそれぞれの金額をはじめ、お布施の相場費用まで確認しておくと後々まで安心です。
なお、支払いにあたっては、現金の手渡しや、銀行振込が一般的です。納骨予定日が決まっている場合は、必ず指定の期日までに支払いを済ませてください。
永代供養墓の選び方のポイント5つ
永代供養墓を選ぶ際は、故人のためはもちろん、家族や親族が快適にお参りができるかどうかがたいへん大切です。そのためには、次の5つのポイントをチェックしましょう。
- 交通アクセス
- 宗旨宗派
- 永代供養墓の種類
- 遺骨の安置期間や費用
- 環境や施設・設備
①交通アクセス
永代供養墓は、遺族の自宅から交通アクセスが便利な場所にあると、思いついたときにいつでもお墓参りができ、負担にもなりません。
参考情報として、お墓参りの頻度に関するアンケートの調査結果によると、以下のように『年に数回』という方が多いことが分かりました。
出典:墓地に関する世論調査(内閣府)
- 月に1〜2回位:7.9%
- 年に3〜5回位:31.7%
- 年に1〜2回位:42.7%
- ほとんど行かない:15.2%
故郷の田舎や遠い場所にお墓があると、お墓参りの頻度も少なくなりがちです。
永代供養墓は、公共交通機関による交通アクセスが便利な場所や、階段や坂道などが少なく、気楽に訪れやすい場所を選ぶと良いでしょう。
②宗教・宗旨宗派
宗教や宗旨宗派にこだわりのある方は、永代供養先の供養方法についてもしっかりと確認しましょう。
永代供養墓の多くは、過去の宗教・宗旨宗派を問わずに納骨が可能ですが、寺院では他寺の僧侶の出入りが自由にできないことが一般的です。
また、永代供養墓を経営できるのは、地方公共団体、公益法人、寺院のみに限られており、遺骨はお墓以外の場所へ埋葬・納骨することが法律で禁止されています。
出典:墓地、埋葬等に関する法律(厚生労働省)
どうしても宗教にこだわりがある場合や、お付き合いのある宗教者へ供養をしてほしい場合は、公営墓地や公益法人の永代供養墓を選択すると良いでしょう。
③永代供養墓の種類
永代供養墓を選ぶ際は種類を重視すると、失敗や後悔を防ぎやすく、理想のタイプを絞りやすくなります。
前述のように、永代供養墓には6つの種類があり、それぞれ特徴が大きく異なるため、気に入った形態を選びましょう。
なお、契約時は必ず事前に現地見学を行って、イメージに相違がないかどうか、実際の永代供養墓を確認することが大切です。
④遺骨の安置期間や費用
永代供養墓の遺骨の安置期間については必ず事前に確認し、先々延長できるかどうかといった条件を確認しておくことも大切なポイントです。
また、費用に関しては初期費用のみならず、追加費用や後々の管理費・護持費、お布施の金額などまで確認しておきましょう。
なお、お寺の檀家として永代供養墓を利用する際は、寄付金としてお布施を求められる場合もあります。
檀家には寺院の経営を支える役割があるため、想定外のお布施の支払いを避けたい方は、檀家になる必要があるかどうかを確認するようご注意ください。
⑤環境や施設・設備
永代供養墓は快適にお参りできるよう、環境や施設・設備についてもしっかりと確認しましょう。
誰もが安心して利用できるためには、バリアフリーであることや、トイレや休憩場所があることも大切なポイントといえます。
また、管理事務所や窓口、常駐スタッフの接客応対や相談のしやすさなどもチェックしておくと、いざというときや先々も安心です。
そのためにも事前見学はきちんと行って、永代供養墓の口コミ評判なども確認しておくと良いでしょう。
永代供養墓についてよくある質問
永代供養墓についてよくある質問をまとめてご紹介しますので、気になる項目があれば回答までご確認のうえ、ぜひ参考になさってください。
- 永代供養墓で費用を安く済ませる方法は?
- 永代供養墓の埋葬・納骨でもらえる補助金は?
- 永代供養墓は相続税の控除対象になる?
- 永代供養墓は何年・何回忌で合祀するの?
永代供養墓で費用を安く済ませる方法は?
永代供養墓の種類で費用を最も安く抑えられるのは、市町村の自治体によって運営されている公営墓地の合祀墓・合葬墓です。
地域によって費用に差がありますが、北海道なら1万円前後、東京近郊の都心なら10万円前後が相場となっています。
参考:合同納骨塚について(札幌市公式サイト)
ただし、申し込みにあたっては、該当地域に住民登録していることや、遺骨が手元にあることなど、条件を伴うケースが多いため注意しなければなりません。
一方で、民営墓地や寺院の合祀墓・合葬墓なら一般的に生前の申し込みも可能で、選べる選択肢も多いです。
永代供養墓の埋葬・納骨でもらえる補助金は?
故人が社会保険に加入していた場合、埋葬を行う方に埋葬料として一律5万円が支給されます。
参考:ご本人・ご家族が亡くなったとき(全国健康保険協会・協会けんぽ)
また、故人に親族や生計をともにしていた方がおらず、埋葬料の受取人がいない場合は、埋葬費として上限5万円までの実費の受け取りが可能です。
ただし、申請には期限があり、埋葬料は故人が亡くなった日の翌日を起算日として2年、埋葬費は埋葬をした日の翌日から2年となっているため、忘れずに勤務先へ申告しましょう。
永代供養墓は相続税の控除対象になる?
永代供養墓は昔ながらのお墓とは異なり、遺骨の供養を委託する仕組みのため、相続税の控除対象ではなく課税対象となります。
出典:相続財産から控除できる葬式費用(国税庁)
ただし、生前に永代供養墓を準備しておけば、遺産相続の金額が軽減できるため、相続税対策として有効です。
永代供養墓は何年・何回忌で合祀するの?
永代供養墓は最初から合祀をするタイプもあれば、一定期間後に合祀するケースもあり、遺骨を安置する期間は、永代供養墓やプランによって異なります。
基本的には年単位となり、1年から最大50年というように年数が決められている場合や、故人の命日に合わせて33回忌までなどと決められている場合があるため、事前にしっかり確認しましょう。
まとめ:永代供養墓は6種類あり、特徴や費用が異なる!
永代供養墓の種類による特徴や費用についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。
- 永代供養墓は6種類あり、特徴や費用は次のとおり。
種類 | 特徴 | 金額 |
①個別墓 | 墓石建立タイプ | 約80〜150万円 |
②合祀墓・合葬墓 | 複数名を一緒に埋葬 | 約5〜30万円 |
③集合墓 | 屋外で遺骨を一括保管 | 約20〜60万円 |
④個別安置墓 | 屋外で遺骨を個別保管 | 約50〜100万円 |
⑤樹木葬 | 樹木や草花のもとへ納骨 | 約20〜100万円 |
⑥納骨堂 | 室内で遺骨を個別保管 | 約20〜150万円 |
- 永代供養墓の選び方のポイントは5つ。①交通アクセス ②宗旨宗派③永代供養墓の種類 ④遺骨の安置期間や費用 ⑤環境や施設・設備。
- 永代供養墓の費用は、初期費用のみならず、追加費用や管理費、お布施の金額まで事前に確認しておくと、後々まで安心できる。
- 永代供養墓は、契約する前に現地見学を行って、故人の埋葬・納骨される環境のみならず、家族にとってのお墓参りの快適さをきちんと確認することが大切。
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