1-1.葬儀の準備

2025.06.30

戒名がいらない場合の4つの注意点!俗名の意味や対処法について解説

facebook

twitter

line

仏式のお葬式では戒名(かいみょう)を付けてもらい、お坊さんを呼んで読経をしてもらうのが一般的ですが、「戒名はいらない」という方もいらっしゃるでしょう。

葬儀ではなぜ戒名が必要なのか、戒名がないと故人を供養できないのか、戒名料はいくらなのか、戒名に関してはさまざまな疑問があるでしょう。

実は、戒名をつけないと後々になって後悔することやトラブルが起こる可能性があるため、気をつけなければなりません。

そこで本記事では、戒名について知っておきたい知識と、戒名がいらない方の対処法や、戒名をつけない場合のお葬式や供養の方法を分かりやすく解説します。

そもそも戒名が必要かどうか悩んでいる方のため、戒名の必要性を決めるポイントや、戒名料の金額についても必要な知識をご紹介しますので、どうぞ参考になさってください。

戒名とは何か?

戒名とは

そもそも戒名とは何なのか、意味や役割などの基礎知識について解説します。

戒名の意味

戒名とは、仏教徒としての名前のことをいい、一般的にはお葬式の際に、僧侶から授かります。

仏教には13宗56派もの宗派がありますが、戒名は宗派によって羅列する文字の構成要素が異なります。

つまり、戒名を授かることには、宗派への信仰心や仏様の弟子とみなされたことを証明する意味合いがあるといえるでしょう。

戒名の役割

戒名を授かるのは仏式の供養の一環で、亡くなった故人の霊を安らかに鎮める役割があるといわれています。

仏式の葬儀では、戒名を書いたお位牌を祭壇へ配置し、葬儀後はお仏壇のお位牌やお墓へも戒名を記して供養します。お位牌やお墓は故人の魂が宿る大切な場所です。

故人の命日やお盆や春彼岸・秋彼岸などの法事・法要では、僧侶に戒名を読み上げてもらいながら、お仏壇やお墓の前で読経による供養を行います。

戒名が必要な4つの理由とは?

戒名の必要性

仏教には、戒名が必要となる4つの理由があるため、ポイントを押さえて解説します。

  • 故人をしっかりと供養できるため
  • 故人を尊重して威厳を保つため
  • お付き合いのあるお寺や納骨先で必要なため
  • 家族や親族と良好な関係を保つため

故人をしっかりと供養できるため

仏式の儀式の流れに基づき、戒名をつけてお葬式や法事・法要を営むことは、故人の供養に対する安心感が高まります。

故人のためにしっかりとした供養を希望する場合は、信頼のできる特定のお寺から戒名を授かり、供養を委ねるとよいでしょう。

故人を尊重して威厳を保つため

故人を尊重して威厳を保ち続けたい遺族は、多くの参列者を招いて華やかなお葬式をしたり、より高いランクの戒名を授かったりするケースが多い傾向にあります。

戒名は故人の生前の功績や貢献、人柄や趣味などからふさわしい文字が割り当てられるようになっており、まさに故人を象徴する大切な存在だからです。

お付き合いのあるお寺や納骨先で必要なため

戒名がいらない場合でも、お付き合いのあるお寺や遺骨の納骨先によっては、必要になるケースがあります。

とくにお寺を支える立場となる檀家の方や、先祖代々受け継いだお墓のある方は、戒名がないと供養や納骨できない可能性があることを知っておきましょう。

家族や親族と良好な関係を保つため

戒名は自分がいらないと思っていても、家族や親族は必要と思うケースがあり、戒名への価値観や考え方は人それぞれ異なります。

とくに、故人の親や子供、兄弟姉妹などの血縁者へは配慮しなければならず、喪主や遺族だからといって戒名はいらないと勝手に決めてしまうとトラブルに繋がる可能性があります。

戒名の種類とランクによる戒名料の相場

お布施

お布施の金額によって戒名をつけるかどうか検討したい方もいらっしゃると思います。戒名には種類やランクがあるため、具体的な戒名料ともども、ポイントを押さえて解説します。

戒名の種類とは?

宗派 種類 文字の構成要素
真言宗 戒名 院号+道号+戒名+位号
天台宗 戒名 院号+道号+戒名+位号
曹洞宗 戒名 院号+道号+戒名+位号
臨済宗 戒名 院号+道号+戒名+位号
日蓮宗 法号 院号+道号+日号+位号
浄土宗 戒名 院号+誉号+戒名+位号
浄土真宗 法名 院号+釋号+法名

戒名は宗派によって羅列する文字の構成要素が異なり、戒名以外にも「法号」「法名(ほうみょう)」と呼ばれる種類があります。

日蓮宗は『法号』と呼ぶ

日蓮宗では戒名のことを「法号」と呼び、日蓮上人の「日」と、男性には「法」、女性には「妙」をつけることが一般的です。

浄土真宗は『法名』と呼ぶ

浄土真宗では、戒名ではなく「法名(ほうみょう)」といい、お釈迦様の弟子を表す「釋」という漢字を使用します。

戒名のランクによる相場料金

宗派 信士・信女 居士・大姉 院信士・院信女 院居士・院大姉
真言宗 30〜50万円 50〜70万円 80万円以上 100万円以上
天台宗 30〜50万円 50〜70万円 80万円以上 100万円以上
曹洞宗 30万円以上 50〜70万円 100万円以上 100万円以上
臨済宗 30〜50万円 50〜80万円 100万円以上
日蓮宗 30〜50万円 100万円以上
浄土宗 30〜40万円 50〜60万円 70万円以上
浄土真宗 釋・釋尼

20万円以上

院釋・院釋尼

50万円以上

戒名は最も多い価格帯が20〜30万円で、相場金額は20〜50万円と幅広いです。ランクによっては100万円以上するケースもあり、地域によっても相場は異なります。

※北のお葬式がサービスを提供している北海道の戒名料の相場は5~30万円程度で、全国的な相場とは異なる場合があります。

戒名の読み方と意味

戒名の読み方と意味について、ポイントを押さえて解説します。

信士(しんじ/しんし)・信女(しんにょ)

信士・信女は最もポピュラーな戒名ランクです。浄土真宗の法名では「釋(しゃく)・釋尼(しゃくに)」となります。

居士(こじ)・大姉(だいし)

居士・大姉は、信士・信女よりも上位ランクとなり、生前に寺院や社会に貢献した方や、熱心な信者の方に授与される戒名です。

院信士(いんしんじ/いんしんし)・院信女(いんしんにょ)

院居士・院大姉は、居士・大姉よりも高いランクの戒名となり、さらなる寺院や社会への貢献を意味する戒名です。戒名料も割高となるため、一般の方では最高ランクといえます。浄土真宗では「院釋(いんしゃく)・院釋尼(いんしゃくに)」となります。

院居士(いんこじ)・院大姉(いんだいし)

院居士・院大姉は、最高ランクの戒名となります。皇族などの高貴な方など、めったに付与されることのない価値ある戒名で、戒名料も100万円以上することが一般的です。

戒名がいらない3つのケース

永代供養墓

葬儀や供養ではそもそも戒名がいらない3つのケースがあるため、具体例を解説します。

  1. 無宗教や在来仏教以外の宗教の場合
  2. お付き合いをしているお寺がない場合
  3. 戒名がいらないお墓や永代供養への納骨や散骨をする場合

①無宗教や在来仏教以外の宗教の場合

無宗教や仏教以外の宗教ではそもそも戒名が不要で、創価学会などの在来仏教以外の新興宗教においても戒名がいらないケースがあります。

ただし、キリスト教ではクリスチャンネーム、神道では諡(おくりな)と、戒名とは異なる名称の名前を授かる場合があるため、不明な場合は所属する教団へ確認しましょう。

②お付き合いをしているお寺がない場合

お付き合いをしているお寺がなく、特定のお寺の檀家に属さない方は、基本的に戒名をつける必要がありません。

一方で、戒名がいらない場合でも、お葬式や法事・法要でお坊さんを呼んで読経してもらうことは可能な場合があるため、希望があれば葬儀社へ相談してみるとよいでしょう。

③戒名がいらないお墓への納骨や散骨もしくは分骨した遺骨を手元供養する場合

お葬式後の遺骨の納骨先によっては、戒名をつけなければいけない場合がある一方で、お墓によっては戒名が不要な場合もあり、海や山林へ遺骨を散骨する際も戒名が必要がありません。

お墓には種類があり、公営墓地や宗教自由の民営霊園では戒名が不要で、永代供養と呼ばれる納骨方法もあるため、後述にて解説します。

また、すべての遺骨を散骨する場合や、分骨によって少量の遺骨を自宅に置いたり身につけたりして手元供養する際は戒名は不要です。

戒名がいらない場合の対処法は俗名を使用する

俗名

戒名がいらない場合の対処法として用いられる『俗名(ぞくみょう)』について、意味や戒名との違いを解説します。

俗名の意味とは?

俗名とは生前に名乗っている名前のことで、氏名に該当します。戒名がいらない場合は俗名を使用してお葬式を行います。

戒名がなく俗名だからといって、葬儀や供養ができないわけではありません。

お位牌やお墓は俗名で書いたり彫刻したりすることができますし、お仏壇を用意したり、法事・法要を行ったり、お坊さんに読経してもらうなど、俗名でも仏式と同じような供養が可能です。

戒名と俗名の違い

呼称 意味
戒名 僧侶が授与する仏弟子としての名前
俗名 仏門に入る前の名前

戒名と俗名はいずれも仏教に基づく呼称です。戒名は仏弟子として授かる名前で、俗名は仏門に入る以前の名前となります。

ただし、戒名には戸籍制度がなく苗字もないため、親や祖先の文字を継承することはありません。

戒名がいらない場合の4つの注意点

注意事項

戒名がいらない場合は、あらかじめ4つの注意点をよく読んで、後々までトラブルにならないように気をつけましょう。

  1. 事前に家族や親族へ相談をして許可を得る
  2. お付き合いのある菩提寺へ必ず事前相談する
  3. 戒名がなくても既存のお墓へ納骨できるかどうかを確認する
  4. お墓がない場合は戒名がいらないお墓への納骨や永代供養をする

①戒名がいらない場合は事前に家族や親族へ相談をして許可を得る

戒名がいらない場合でも、必ず事前に家族や故人の血縁者にあたる親族へ確認をして、許可を得ることで親戚トラブルを回避しましょう。

故人の意向がある場合でも、戒名や葬儀や納骨先などの供養に関することは、身内で揉め事にならないよう、あらかじめ相談や確認をして承諾を得ておくと安心です。

②戒名がいらない場合はお付き合いのある菩提寺へ必ず事前相談する

お付き合いのある菩提寺があり、戒名がいらない場合は、必ずお葬式の前に住職へ相談してください。

遠く離れた故郷のお寺にお墓があり、葬儀で違うお寺に読経してもらう場合にも、戒名については納骨先のお寺へ相談しておくと、無駄な手間や出費を防ぎやすくなります。

③戒名がなくても既存のお墓へ納骨できるかどうかを確認する

檀家用の墓地や納骨堂では戒名が必要で、戒名をつけないと納骨できない危険性があるため、すでに納骨先がある方は俗名で納骨できるかどうか条件をしっかりと確認しましょう。

なお、何らかの事情で檀家を辞める場合には、既存のお墓について墓じまいをしなければならず、高額な離檀料が発生するケースもあるためご注意ください。

出典:墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意(国民生活センター)

④お墓がない場合は戒名がいらないお墓への納骨や永代供養をする

戒名が不要でお付き合いをしているお寺がなくお墓がない場合は、戒名がいらない墓地や樹木葬・納骨堂・合祀墓などの永代供養墓を探して納骨しましょう。

永代供養とは、遺骨の管理や供養を霊園やお寺へ委ねる仕組みのことをいい、寺院であっても戒名がいらないケースが多く、最新の調査によると、約8割もの多くの方に選ばれています。

戒名がいらない場合によくある質問

よくある質問

戒名がいらない場合によくある質問をご紹介しますので、気になる事項があれば確認して、疑問や悩みの解消にお役に立てください。

家族葬や直葬では戒名がいらないの?

お葬式には次のように種類があり、いずれの葬儀形式でもお坊さんを呼んで戒名をつけることは可能ですが、一般的に直葬や火葬式では戒名をつけずに俗名で火葬のみを行う傾向にあります。

  • 一般葬:昔ながらの不特定多数の会葬者を多く招く葬儀
  • 家族葬:家族や親族のみなど少人数の葬儀形式
  • 一日葬:お通夜を省略して1日ですませる家族葬
  • 直葬・火葬式:葬儀を省略して火葬のみを行うスタイル

なお、家族葬とは30名以下を目安とする小さな規模のお葬式のことをいい、神式やキリスト教式でも行えるため、葬儀形式と戒名の有無とは直接的な関係はなく、戒名は仏式の葬儀に基づくものです。

戒名がいらない人は自分で戒名をつけていい?

お布施を支払ってまで戒名はいらないため、自分で戒名をつけたいと思う方もいらっしゃると思いますが、その場合は必ず事前に菩提寺や納骨先へ確認を取る必要があります。

結果的にお寺に頼むことになったり、戒名のつけ直しが必要になったりして、トラブルにならないよう気をつけてください

高い戒名はいらないため、戒名を安くつける方法はある?

戒名は生前戒名(死前戒名)として生きているうちに付与してもらうことができ、生前に授かると戒名料が安くなる傾向があります

家族へお布施の負担をかけたくない方や、戒名にこだわりのある方は菩提寺へ相談して、生きているうちに授与してもらうように検討するとよいでしょう。

まとめ:戒名がいらない場合は4つの注意点に気をつければ俗名でお葬式や供養ができる!

仏壇

戒名とは、仏教で僧侶から与えられる名前のことをいいます。本記事では、戒名がいらない場合の注意点や対処法について解説しました。本記事の要点を以下にまとめてご紹介します。

  • 無宗教や在来仏教以外の宗教の場合や、お付き合いをしているお寺がない場合、戒名がいらないお墓や永代供養への納骨や散骨をする場合は、そもそも戒名がいらない。
  • 戒名がいらない方は、戒名をつけずに生前の名前(俗名)で葬儀をすることができ、お位牌やお墓にも俗名を記すことができる。
  • 菩提寺によっては戒名が必須で、戒名をつけないと遺骨を納骨できないことや、他寺から授かるとつけ直しが必要になるなどのトラブルが起こる可能性がある。
  • 戒名がいらない場合は次の4つの注意点がある。①事前に家族や親族へ相談をして許可を得る ②お付き合いのある菩提寺へ必ず事前相談する ③戒名がなくても既存のお墓へ納骨できるかどうかを確認する ④お墓がない場合は戒名がいらないお墓への納骨や永代供養をすることに気をつける。

北のお葬式は北海道一円のお葬式を承っている葬儀社で、俗名による葬儀を承っており、ご要望の方へは葬儀での戒名授与が可能です。

戒名や寺院、お墓や納骨についての悩みやお困りごとなど、葬儀や供養に関するご相談を無料で承っていますので、どうぞお気軽にお問い合せください。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

facebook

twitter

line

ページトップへ戻る