3-0.終活・生前準備

2024.06.20

墓じまいとは?費用を抑えて速やかに進める11の手順と注意点を解説

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近頃よく聞く「墓じまい」とは、一体どのようなことをいい、具体的に何をするべきなのか、興味や関心のある方もいらっしゃるでしょう。

自分は墓じまいをした方が良いのか、いざ墓じまいをするにはどのぐらいの費用が必要なのか、気になる方も多いと思います。

実は、墓じまいには、費用を抑えて速やかに進めるコツがあるため、本記事ではポイントを押さえて、知っておきたい知識と手順を分かりやすくご紹介します。

トラブルを防ぐために気をつけるべき墓じまいの注意点も解説していますので、どうぞ参考になさってください。

墓じまいとは?

墓石

墓じまいとは、墓石を解体撤去のうえ更地に戻し、土地区画の使用権を墓地へ返還することをいいます。

近年、お墓は墓じまいブームと言われ、2022年には15万件を超える方々が墓じまいによる改葬を行って、過去最高値を記録しました。
参考:衛生行政報告例(厚生労働省)

かつては墓石のお墓を代々継承することが一般的でしたが、現在は樹木葬や納骨堂などが人気を集め、継承者のいらない永代供養を選択する方が増えています。

出典:跡継ぎ不要のお墓を購入した人が約65%「承継者不要」のお墓が選ばれる時代へ(いいお墓)

永代供養とは、墓石の維持管理の費用や手間を省いて、霊園や寺院へ遺骨の管理や供養を委ねることをいい、墓じまい後の遺骨の改葬先として永代供養をする方はたいへん多いです。

墓じまいをした方が良い5つのケース

お墓のトラブル問題

墓じまいは、次のような5つのケースの方に適しています。墓じまいをするかどうか迷っている方は、確認なさってください。

  • お墓の継承者がいない
  • お墓が故郷など遠方にある
  • お墓の管理費やお布施の費用負担が厳しい
  • お墓参りやお墓掃除の手間が負担
  • 子どもや孫へお墓の負担をかけたくない

お墓の継承者がいない

独身や子どもがいない方など、お墓の継承者がいない場合、故人やご先祖様が供養されずに無縁仏になってしまうため、墓じまいすることがおすすめです。

近年は万一に備えて、生前のうちに終活をすることが一般的になりつつあるため、墓じまいでは同時に、自分自身の葬儀やお墓についても検討しておくと良いでしょう。
出典:終活に関する調査(楽天インサイト)

お墓が遠方にある

お墓が故郷の田舎や遠方にあると思うようにお墓参りができず、将来への不安も膨らんで精神的にも良くないため、墓じまいをした方が安心です。

なお、墓じまいをした理由に関する最新のアンケート調査結果によると、お墓が遠方にある方が54.2%と、過半数を超えていることが分かりました。
出典:【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)(いいお墓)

お墓の管理費やお布施の費用負担が厳しい

墓石のお墓は、年間管理費や護持費といった費用負担がかかるほか、檀家墓地では寄付金としてお布施を求められるケースもあり、お墓の維持にお困りの方もいらっしゃるでしょう。

高齢になって年金暮らしともなると、お墓の費用負担はより重荷に感じるようになるため、経済的な問題を危惧する方は、墓じまいによって問題解決するのが最良です。

お墓掃除の手間が負担

お墓は草むしりや掃除、墓石のお手入れが不可欠で、放置しておくと荒れてしまい、他の利用者や墓地へ迷惑をかけてしまうため、負担を感じている方は墓じまいを検討しましょう。

とくに高齢者にとってはお墓への道のりも身体的に大きな負担になりやすく、墓地の場所や季節によっては危険を伴う可能性もあるため、早めに墓じまいを行うことがおすすめです。

子どもや孫へお墓の負担をかけたくない

子どもや孫に対して、お墓の維持費や、管理の負担をかけたくないために、墓じまいを行うご家庭は多くあります。

家族の負担にならないお墓選びは永代供養のニーズが高まっている理由でもありますが、子どもの重荷になるようなら、親の世代のうちに墓じまいをした方が良いでしょう。

墓じまいの費用と内訳金額

墓じまいの費用

墓じまいに必要な費用は、総額で30〜300万円程度となり、内訳と金額は次のとおりです。

内訳 金額
墓石の解体撤去費用 約20〜50万円
閉眼供養 約3〜5万円
離檀料 約3〜15万円
行政手続き費用 無料〜約3千円
新たな納骨先の費用 約5〜250万円

墓石の解体撤去における費用は、1㎡につき約10万円〜15万円ですが、新たな納骨先を用意するための費用が5〜250万円と幅広く、遺骨の数が多いほど費用負担が大きくなる傾向にあります。

墓じまいの費用を安く抑える6つのポイント

墓じまいのポイント

墓じまいの費用を安く抑える方法にはコツがあり、次の5つのポイントを押さえておくと想定外の出費を軽減でき、費用を安くしやすいです。

  • 墓じまいする墓地が補助金制度や還付金制度の対象かを調べておく
  • 寺院墓地の墓じまいではあらかじめお寺へお金の相談をしておく
  • 墓地の管理者へ事前に必要な工事内容を確認しておく
  • 複数の石材店や工務店から相見積もりを取得して価格交渉する
  • 費用が安い永代供養墓を探す
  • 事前にお得な支払い方法を調べておく

墓じまいする墓地が補助金制度や還付金制度の対象かを調べておく

地域の自治体や地方団体が運営する公営墓地によっては、墓じまいで補助金が支給される場合があるため、あらかじめ調べておきましょう。

全国各地の霊園・墓地では、次のように墓じまいの工事費用がお得になる補助金制度や還付金制度があり、最大で数十万円の現金が支給されるケースもあります。

寺院墓地の墓じまいではあらかじめお寺へお金の相談をしておく

寺院墓地では、高額な離檀料や閉眼供養のお布施を請求されないよう、あらかじめお墓の維持管理における費用負担が厳しいといったお金にまつわる相談をしておくのがおすすめです。

お墓の跡継ぎがいないことや、身体的な理由でお墓参りやお墓のお手入れが難しいという事情もあると思いますが、墓じまいの出費を考慮すると、お金の相談も大切といえるでしょう。

墓地の管理者へ事前に必要な工事内容を確認しておく

墓じまいの墓石の解体撤去工事にあたり、事前にどのような工事をするべきなのか、具体的な工事内容を墓地の管理者へ確認しておきましょう。

原則として、墓じまいでは墓地を更地に戻す必要がありますが、墓地やお墓の状態によっては、地盤の基礎工事や外柵工事は現状のまま、工事をしないで済む場合もあります。

複数の石材店や工務店から相見積もりを取得して価格交渉する

墓じまいでは代行業者もありますが、費用負担を抑えるためには、石材店や工務店へ直接、工事を委託した方が仲介手数料がかからずに安価に済ませることができます。

複数の業者へ見積依頼のうえ比較検討し、追加費用が発生しないかどうかまで確認しておくと、後々まで安心です。

費用が安い永代供養墓を探す

永代供養墓にはさまざまな種類があり、費用も幅広いため、事前に安い納骨先を調べておきましょう。後々の管理費が不要な永代供養墓なら出費が抑えられて安心です。

また、お墓参りが快適にできるかどうか、現地の接客応対に至るまで、事前見学によって確認しておくことをおすすめします。

事前にお得な支払い方法を調べておく

墓石の解体撤去工事の支払いは、現金だけではなく、クレジット決済に対応している場合もあるため、お得なポイント付与のある決済方法を選ぶのもおすすめです。

費用の捻出にお困りの場合は、安い金利の墓石ローンや銀行の融資を利用するのも一つの方法ですので、事前にお得な支払い方法を調べておきましょう。

墓じまいで気をつけるべき注意点5つ

石材店のユニック車

墓じまいで気をつけるべき注意点は、次の5つです。後々までトラブルが起こらないよう、大事な心得としてよく読んでご理解ください。

  • 納骨されている遺骨は改装(現在のお墓から別のお墓へ移すこと)しなければならない
  • 家族や親族との話し合いを重視する
  • 寺院とトラブルにならないよう事前に相談する
  • 墓じまいの工事は石材店か工務店へ委託する
  • 霊園や墓地で工事業者が決められている場合がある

納骨されている遺骨は別のお墓へ納骨しなければならない

遺骨は法律によって墓地以外への埋葬や遺棄が禁じられているため、墓じまいするお墓の遺骨は、新たなお墓や永代供養墓へ納骨しなければなりません。
参考:墓地、埋葬等に関する法律(厚生労働省)

一時的に自宅へ遺骨を安置して手元供養をしても構いませんが、いつかは永代供養が必要になることを知っておきましょう。

家族や親族との話し合いを重視する

墓じまいでは、反対する方とトラブルにならないよう、家族や親族との話し合いを重視して、後々まで揉め事にならないようにご注意ください。

なお、お墓は代々継承する祭祀財産として、かつては長男が受け継ぐものでしたが、現在はそのような習慣はなく、基本的に女性や故人の兄弟姉妹などが跡継ぎになっても構いません。

ただし、霊園や墓地では、何親等まで納骨できるといった規則があるため、墓じまいをせずに身内の誰かが継承を希望する際は、事前に利用規約を確認しましょう。

寺院とトラブルにならないよう事前に相談する

寺院墓地の墓じまいではお世話になった感謝の気持ちを大切に、墓じまいすることに決めたという一方的な姿勢でご住職の気分を損ねないように注意して、必ず事前に相談しましょう。

墓じまいでお寺とトラブルになりやすいのは離檀料ですが、費用の交渉は工事業者や新たな納骨先へ依頼することはできず、自分で対処しなければなりません。

出典:墓じまい 離檀料に関するトラブルに注意(国民生活センター)

墓じまいの工事は石材店か工務店へ委託する

墓石はとても重たく、解体撤去や運搬にはユニック車などの重機や専用工具が必要となるため、自分で対処せずに石材店や工務店へ委託しましょう。

日曜大工が得意だからといって、墓じまいは知識のない個人ができる工事ではありませんので、ご注意ください。

霊園や墓地で工事業者が決められている場合がある

公営墓地では自由に工事業者を選択できますが、民営墓地にあたる霊園や寺院墓地では、墓じまいする工事業者が墓地で決められている場合がありますのでご注意ください。

出典:消費者トラブルFAQ(国民生活センター)

墓じまいをスムーズに進める11の手順

墓じまいの11の手順

墓じまいで無駄や二度手間を省いて、スムーズに進める11の手順について解説しますので、ぜひ参考になさってください。

  1. 墓じまいについて家族や親族と話し合う
  2. 墓じまいするお寺や墓地の管理者へ相談をする
  3. 新たな納骨先を決める
  4. 工事業者から見積もりを取得して打ち合わせる
  5. 墓じまいするお墓を管轄する役所から改葬許可申請書を入手する
  6. 墓じまいする墓地の管理者から埋葬証明書と改葬承諾書を入手する
  7. 改葬先の墓地の管理者から受入証明書を入手する
  8. 墓じまいするお墓を管轄する役所へ改葬許可証を発行してもらう
  9. 墓石の閉眼供養をして遺骨を取り出す
  10. 墓石の解体撤去工事を行って墓地を返還する
  11. 新たな納骨先へ改葬許可証を提出して納骨する

①墓じまいについて家族や親族と話し合う

墓じまいでは、家族や親族から必ず事前に承諾を得て、作業分担や費用負担の割合などについても話し合っておくと良いでしょう。

より良い工事業者や改葬先を探すためにも、家族や親族に協力してもらい手伝ってもらうと、墓じまいはスムーズで安心です。

②墓じまいするお寺や墓地の管理者へ相談をする

墓じまいすることが決まったら、霊園や墓地の管理者へ相談のうえ、工事内容や指定業者が決まっているかどうかを確認します。

檀家墓地の場合は、あらかじめお寺へ相談して、必ず墓じまいの了承を得てから、工事について確認してください。

③新たな納骨先を決める

現在お墓に納骨されている遺骨の新たな納骨先を探す際は、具体的な見積取得や現地確認を行ってから決定します。

土へ還った遺骨や空の骨壺は新たな納骨先に納める必要はありません。現在のお墓に何体納骨されているか不明な場合は、工事業者に確認してもらいましょう。

④工事業者から見積もりを取得して打ち合わせる

工事業者から見積もりを取得して業者を決定したら、工事内容や墓じまいの日程スケジュールについて打ち合わせます。

墓じまいでは、役所手続きに日数を要するため、日数にはゆとりをもっておくことが大切です。

⑤墓じまいするお墓を管轄する役所から改葬許可申請書を入手する

墓じまいするお墓を管轄する役所から、遺骨の数量分の改葬許可申請書を取得して、必要事項を記入します。

改葬許可申請書は役所によって書式が異なりますが、役所のホームページからダウンロードできる場合や、郵送対応してもらえるケースもあるため、確認のうえ入手してください。

この際、必要な書類や手続き方法を具体的に確認しておくと、不備を防いでよりスムーズに手続きできます。

⑥墓じまいする墓地の管理者から埋葬証明書と改葬承諾書を入手する

墓じまいする墓地の管理者から埋葬証明書を受け取りますが、改葬許可申請書に署名欄がある場合は、書類としてではなく、改葬許可申請書へ記入・押印してもらいます

お墓の所有者本人ではなく別の人が行政手続きする場合、墓地から改葬承諾書を入手する必要もあります。委任状の場合でもお墓の管理者の署名・捺印が必要なためご注意ください。

⑦改葬先の墓地の管理者から受入証明書を入手する

遺骨の改葬先の墓地の管理者から受入証明書を入手しますが、改葬許可申請書に署名欄がある場合は、書類としてではなく、改葬許可申請書へ記入・押印してもらってください

⑧墓じまいするお墓を管轄する役所へ改葬許可証を発行してもらう

必要書類の準備ができたら、墓じまいするお墓を管轄する役所へ改葬許可申請書と必要書類を提出して、改葬許可証を発行してもらいます

なお、改葬許可証の発行は無料の場合もありますが、数百円から数千円の手数料を要する場合もあるため、規定の料金を役所へお支払いください。

⑨墓石の閉眼供養をして遺骨を取り出す

墓じまいで遺骨を取り出す際は、あらかじめ閉眼供養をして、墓石に宿っているご先祖様や故人の魂を抜き取るための儀式を行います。

大切な法事・法要となるため、僧侶とスケジュールを調整のうえ、家族や親族にも参列してもらいましょう。

⑩墓石の解体撤去工事を行って墓地を返還する

遺骨を取り出したら、墓石の解体撤去工事を行って、墓じまいする墓地区画の返還手続きを行います。

なお、墓じまいで不要になった墓地は、他人への貸与や売却はできません。墓地の永代使用権は、必ず墓地へ返還する必要があるため気をつけてください。

⑪新たな納骨先へ改葬許可証を提出して納骨する

最後に、新たな納骨先へ改葬許可証を提出して遺骨を納骨しますが、納骨時は納骨式を執り行うのが一般的となっています。

永代供養墓が寺院にある場合は、そのお寺に供養してもらうことになるため、事前に納骨式の日程を決めて読経供養をしてもらってください。

まとめ:墓じまいは費用を抑えて速やかに進める11の手順がある!

永代供養付き納骨堂てらす

墓じまいについて、基礎知識や費用を抑えて速やかに進める方法と、知っておくべき注意点についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。

  • 墓じまいとは、墓石を撤去して更地に戻してから土地区画の使用権を墓地へ返還することをいい、墓石に納骨されている遺骨は他の納骨場所に移し、改めて納骨する必要がある。
  • お墓について、継承者がいない方や遠方にある方、費用やお手入れが難しい方は、墓じまいを検討すると良い。墓じまいすると、子どもへの負担も軽減できる。
  • 墓じまいで費用を抑えるには事前準備が大切で、還付金制度、工事内容、工事業者、改葬先の永代供養墓、支払い方法まで確認し、寺院墓地ではあらかじめお寺へお金の相談をしておく。
  • 墓じまいでは、家族や親族や寺院とのトラブルに注意し、改葬が必要なことや、工事を依頼する業者は、寺院や霊園の指定される場合があることを理解する。
  • 墓じまいを速やかに進めるには、家族や親族、寺院との話し合いを重視して、役所手続きでは、墓じまいするお墓を管轄する役所からの改葬許可申請書の入手を優先すると良い。

北のお葬式では、墓じまいの改葬先として最適な人気の永代供養付き納骨堂をご紹介しており、資料請求や見学予約を無料で承っています。

墓じまいのご相談にも無料で対応していますので、どうぞお気軽にお問い合せください。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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