1-0.葬儀・葬式

2021.12.17

神棚のお供え物の正しい配置方法は?作法や注意点を解説

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自宅や会社に祀られる神棚。

榊を飾り、水や塩を供え、お参りをする様子は日本人にとって馴染み深いものですが、神棚の持つ役割やお供物のマナーについてしっかり理解できているという人は少ないかもしれません。

今回は神棚の意味やお供え物の作法について詳しくご紹介します。

神棚とは?

神棚は神社からいただくお神札(おふだ)を祀る場所です。神棚は神さまと家庭を結ぶ存在で、「家の中の小さな神社」と称されることもあります。

一般的に神棚には、伊勢神宮(神社本庁の本宗)、氏神神社(うじがみじんじゃ:自分が居住している地域を守る神さまを祀る神社)、崇敬神社(すうけいじんじゃ:個人が崇敬する神社)のお神札を祀ります。

お神札には神さまの力が宿ると考えられており、神棚に祀ったお神札を大切に扱うことで、神さまがお力添えくださったり、ご先祖さまが子孫を守ってくださったりするとされています。

神棚へは、神さまに対するお礼や感謝をお伝えするために、神さまに喜ばれるものをお供えをする必要があります。

神棚の種類

神棚には一社造り・三社造り・五社造りなどの種類があり、設置スペースやお祀りするお神札の数・サイズに合わせて選びます。

また、近年では洋風な神棚やモダン神棚も販売されているので、設置する部屋の雰囲気に合わせて選ぶことも可能です。

神棚の種類によってお神札の祀り方が異なりますので以下にご紹介します。

一社造りはお社(おやしろ)が1つのタイプの神棚で、古くから続く、神棚の基本形です。

コンパクトなお社なので、スペースが限られている場合でも設置しやすい神棚となっています。

お社が1つで、お神札をおさめる扉も1つですが、お社の一番手前に伊勢神宮のお神札(神宮大麻)、二番目に氏神神社のお神札、一番奥に崇敬神社のお神札という順番で三体のお神札を祀ります。

三社造りは、3つのお社と3つの扉があるタイプの神棚です。

中央のお社に伊勢神宮のお神札(神宮大麻)、向かって右のお社に氏神神社のお神札、向かって左のお社に崇敬神社のお神札を祀ります。

崇敬神社が無い場合、左右のお社に氏神神社のお神札をお祀りしても問題ありません。

五社造りは五つのお社があるタイプです。幅が広く、余裕のある設置スペースが必要となるため、お店や会社などに適した神棚と言えるでしょう。

三社造りと同様に中央のお社に伊勢神宮のお神札(神宮大麻)、向かって右のお社に氏神神社のお神札、向かって左のお社に崇敬神社のお神札を祀り、その外側にも崇敬神社のお神札を祀ります。

神棚の正しい配置方法

神棚は人が集まりやすく、日当たりや風通しが良い場所に祀ることが良いとされています。

多くの神社が東向き・南向きに建てられていることから、神棚も東向き・南向きに祀ることが良いとされていますが、伊勢神宮に向かって建てられている西向きや北向きの神社もあるため、神棚も西向きや北向きとなってしまっても差し支えないとする説もあります。

また、人が神棚を見下ろす形になることは避け、高い位置にしつらえる必要があります。

出入り口の上や仏壇の向かい側になる場所(お参りする時に反対側の神棚や仏壇にお尻をむけることになるため)、上階にトイレや廊下がある場所は神棚を祀る場所として適さないため、よく確認して設置しましょう。

神棚にお供えする前に準備するもの

神棚へは、神さまに対するお礼や感謝をお伝えするために、神さまに喜ばれるものをお供えします。

お供えをするためには専用の神具を用意する必要があります。一般的に、お供えのために用意するものは以下のとおりです。

  • 水器(すいき:1個)
  • 皿(2枚)
  • 榊立て(さかきたて:1対)
  • 瓶子(へいし もしくは へいじ:1対)
  • 三宝・三方(さんぽう)または八足台(はっそくだい)

それぞれの神具について以下にご説明します。

水器

お水をお供えするための丸い器で、土器、陶器、金属製などがあり、水玉(みずたま)とも呼ばれます。

蓋付のものと蓋なしのものがあり、蓋付のものを使ってお供えする場合、神さまが水を飲めるように蓋を外します。水は器の八分目まで入れます。

米や塩をお供えするために使います。神棚のサイズに対して皿が大きすぎると収まらないため、神棚の大きさに合うサイズを用意しましょう。

榊立て

古くから日本では植物には神さまが宿るとされ、中でも枝先が尖った植物は、神さまの依り代として神事に用いられました。

古くは若松やオガタマノキなどの常用植物も用いられていたようですが、近年では多くの家庭でサカキを用いるようになっています。

また、古事記の中に、天照大御神という神さまが天岩戸にお隠れになった時に、岩戸から出てきていただくために榊を捧げたというお話があり、それが起源となって現在でも榊を供えるという説もあります。

榊を供える際は榊立てに榊と水を入れ、基本的には神棚の左右に対(2個1組)でお供えします。

瓶子

お酒をお供えするための器で、これも対(2個1組)で使用します。

お供えするお酒の種類は純米酒が最も適しています。水器と同様に蓋がついていますが、お供えの際には蓋を外します。

瓶子ではなく、現在酒器として広く使われている徳利を使用する場合もあります。

三宝または八足台

三宝は、神饌(しんせん:神さまに供える食べ物やお酒)をのせる台です。

「へそ」と呼ばれるつなぎ目部分(器部分)を自分側に向けてお供えします。八足台は三宝と同じく神饌をのせて使用します。

三宝や八足台を使用することで、より丁寧にお供えすることができますが、神棚のサイズや高さによっては使用が難しい場合もあります。

神棚にお供えするもの

前項では神棚にお供えをする前に準備するものについてご説明しました。

では、準備が整ったら何をお供えすれば良いのでしょうか。

ここでは、日々供える基本のお供えと、月次祭と呼ばれる神事の際のお供え、お正月などの特別な場合のお供えについてご紹介します。

お供えする際の基本

まず、毎日供える基本のお供え物についてご説明します。基本的なお供物は、お水、塩、お米です。

それぞれのお供えを用意する方法やお供えする際の注意点は以下の通りです。

なお、お供えに関しては諸説あるため、各ご家庭や神社の考え方、地域の風習により異なる場合があります。

私たちが生きていく上で、水が大切な役割を果たしているのと同様に、神さまにとっても水は大切なお供え物です。

 

水をお供えする時は、その日最初に汲む「初水」と呼ばれる水をお供えするのが理想です。初水というのは、キッチン、洗面所、お風呂など、家にある全ての蛇口の中で一番最初に出すお水のことです。

毎日初水を用意することが難しくても、それが理想的であることを忘れずに、できる範囲で対応すると良いでしょう。

蛇口から出る水だけでなく、ウォーターサーバーの水やミネラルウォーターを利用しても問題ありません。

お米

古くから日本人の主食であるお米も基本のお供え物です。お米のまま供えても良いですし、炊いてからお供えしても良いでしょう。

お米をお供えする時は、洗わずにそのまま供えるべきとする説もあれば、洗って供えるべきとする説もあるため、洗うも洗わないも供える方が判断して差し支えないと言えるのではないでしょうか。

洗うことで汚れを落とさなければいけないという意見と、逆に人の手が触れることでお米に穢れがうつるという意見があり、どちらが正解と決めるのは難しいかもしれません。

炊いたお米をお供えする場合は、家族が手をつける前に取り分けてお供えします。

お米や白いご飯だけでなく、お赤飯や混ぜご飯などをお供えすることもできますが、四つ足の動物(牛・豚・羊など)の肉が入っているものは避けましょう。

神様にお供えする塩についても諸説あるようですが、一般的な食塩ではなく粗塩(あらじお)を使用した方が良いという意見が多いようです。

なぜそのような意見が多いのかというと、粗塩は海水を煮詰めたり乾燥させたりして作る塩で、天然のミネラル分が含まれていて、食塩よりも体に良いと考えられているので、神さまにもより良い塩をお供えするべきだという理由がひとつ。

もう一つの理由は、海水、太陽の光、火などの力を借りて作られた粗塩には、自然の力が込められていると考えられるため、お供えに適しているというものです。

以上、水、米、塩の3つが基本のお供え物となります。基本のお供え物は、極力毎日新しいものに取り換えるようにしましょう。

毎月1日・15日に供えるもの

なぜ毎月1日と15日に、基本のお供え物以外にお供えをするのか疑問に思う人もいるかもしれません。

毎月1日と15日には神社で神事(月次祭:つきなみさい)が行われるため、それに合わせて普段とは違うお供えをするということです。

榊自体は基本のお供えのように毎日取り替える必要はなく、一般的に1日・15日に新しい榊を供えることが多いようですが、榊の水は毎日取り替えるようにしましょう。

といっても、萎びたり枯れたりしてしまった榊をそのままにしておくことは、神さまに対して大変失礼ですので、そのような時には1日や15日でなくても取り替えるようにしましょう。

逆に、1日や15日になっても榊の状態が良ければ、無理に交換する必要はないと言えるでしょう。

日本酒

日本酒は、神様への基本のお供えのひとつ「米」から作られることから、神さまにとって大切なお供え物となります。

神さまにお供えしたお酒はお神酒(おみき)と呼ばれ、お下がりとしていただくことで、穢れを払うなどのご利益があるとされています。

基本的に神棚へのお供えには日本酒が用いられますが、その土地で作られているお酒(ワインや焼酎など)をお供えする地域もあるようです。

長期間お酒をお供えしていると、お下がりとしていただけなくなるため、朝お供えしたお酒はその日のうちにお下げして、そのままお飲みになるか、お料理に使うなどすると良いでしょう。

特別な場合のお供え

お正月には、基本のお供えと1日・15日のお供えに加えて、鏡餅・野菜・果物・お菓子などを供えると良いでしょう。

お供えとは異なりますが、年末には神棚を掃除し、しめ縄に正月飾りを施してお正月を迎えます。

お正月以外にも、家族のお祝い事(誕生日・記念日・入学や卒業祝いなど)がある時には、お酒やお祝いのお料理をお供えすると良いでしょう。

その際には、家族が手をつける前にお供え用のお料理を取り分け、四つ足の動物の肉が含まれていないことをしっかり確認してお供えしましょう。

以上が、基本のお供え物や月次祭の時のお供物、お正月やお祝い事といった特別な時のお供えものになります。

お供物の正しい配置方法と順番

前項で神棚にお供えする物についてご説明しましたが、お供えする際は好きなところに好きなように置けば良いというわけではありません。

それぞれのお供え物を置くべき場所が決まっていますので、その決まりに則ってお供え物を配置します。

お供え物の中で最も重要とされるのがお米です。その後が酒、塩、水という順番に重要とされています。

お供えは重要度が高い物を神さまの近く(お神札の近く)になるように配置します。

まず、最も重要とされるお米を神棚の中心かつお札の近くに置き、神棚に向かって右側に塩を、左側に水を置きます。お酒を供える場合はお米の両サイドに供えます。

お供物を供える際、正方形の三方や折敷を使って供える場合と、長方形の三方や折敷を使って供える場合がありますので、以下ではそれぞれの配置についてご説明します。

正方形の三方・折敷の場合

正方形の三方や折敷に基本のお供物である「米」「塩」「水」をお供えする場合、中央の奥(お神札に近い側)に最も重要とされる「米」を置き、神棚に向かって右側の手前(お神札から遠い側)に「塩」を、神棚に向かって左側の手前に「水」を置いてお供えします。

「米」「塩」「水」で三角形を描くように配置すると言うと、イメージし易いかもしれません。基本の3種類の他にお酒を供える場合は、米の両隣に置きましょう。

長方形の三方・折敷の場合

長方形の三方や折敷を使用してお供えする場合、お供えを横一列に並べて配置します。

基本のお供物である「米」「塩」「水」をお供えする場合、中央に「米」を置き、向かって右側に「塩」、左側に「水」を置いてお供えします。

お酒を供える場合は米の両隣に置きましょう。

榊の配置方法

榊は水を入れた榊立てに挿し、神棚の両端に置きます。一般的には左右1本ずつ供えますが、2本以上供える地域もあります。

また、必ずしも榊を左右に配置しなければいけないかというとそのように厳格な決まりがあるわけではなく、片側にしか置けない場合は片側に置いても問題ないという意見もあるようです。

そもそも榊をお供えするスペースがなく、榊はお供えしていないというご家庭もあり、それぞれのご事情に合わせてできる範囲で、神さまに感謝の気持ちを表しているようです。

お供物を交換するタイミングは?

お供物はいつ交換すれば良いのでしょうか。前述したように、基本のお供物となる米、塩、水は毎日交換することが望ましいでしょう。

神棚からさげたお供えは処分せずに、いただいたり使ったりすることで神さまの力を授かることができると考えられています。

そのことからも、供えたままで放置せず、こまめに交換した方が良いと言えるでしょう。

榊や酒は毎日交換したりお供えしたりするものではありません。それぞれのお供物について以下でご説明します。

供えたお米をさげた後は、他のお米と一緒に炊いていただくと良いでしょう。

ご飯をお供えしても問題はありませんが、1日供えたご飯をさげていただくというのは現実的ではないかもしれません。

塩には賞味期限がないため長期間供えても問題ないと思われるかもしれませんが、塩も食品ですから、あまり長くお供えしてほこりをかぶった状態にしてしまうのは神さまに対して失礼となってしまいます。

できれば毎日交換することが望ましいでしょう。

下げた塩はお料理に使う人もいるようですが、ほこりが気になるようでしたら、お風呂に入れるなどしても良いのではないでしょうか。

榊は一般的に1日と15日にお供えするとされていますが、その時期が来る前に枯れたてしまった場合は早めに交換する必要があります。

逆に、お供えした榊が1日や15日になっても青々と茂っている場合、無理に交換する必要はありません。

このように、榊をこまめに交換する必要はありませんが、榊立ての水は毎日取り替えた方が榊が長持ちしますし、神さまにも喜ばれるのではないでしょうか。

お酒は毎月1日と15日、お正月、家庭のお祝いごとの時などにお供えすると良いとされています。

1日と15日に供えるのだから、そのタイミングで交換すれば良いかというと、そのように長期間お供えしていまうとお酒にカビがはえることもあるためおすすめできません。

神社では朝お供えしたお酒は夕方には下げるそうなので、ご家庭でも同じように朝お供えして夕方お下げするというのが良いのではないでしょうか。

下げたお酒は、飲んだりお料理に使ったりお風呂に入れたりすることで、神さまのお力をいただけると考えられています。

神棚にお供えする際の注意点

神棚にお供えをするときには、気を付けなければならない4つの注意点があります。

注意点① こまめに交換する

「お供物を交換するタイミングは?」でもお伝えしたように、お供え物の基本となる米、塩、水は毎日交換することが望ましいとされています。

基本のお供物の他にも、酒、餅、魚、野菜、お菓子などがお供えとして用いられますが、いずれのお供物もあげっぱなしにして古くなったり腐らせたりということのないよう注意しましょう。

注意点② 供えてはいけないものを把握する

地域によって異なるようですが、現在の神道は仏教の影響を受け、四つ足の動物をお供え物とすることはNGとなっています。

では肉類は全てだめかというとそうではなく、二本足の鶏肉を供えることは問題ありません。魚を供えることもできますが、海魚も川魚も基本的にはお頭つきで供えます。

注意点③  器は専用のものを使う

「神棚にお供えする前に準備するもの」でもご紹介したように、お供えをするためには神具を使います。

もし何かの事情で神具が用意できない場合も、人が使っている食器でお供えをすることは避け、お供え専用の器を用意することが大切です。

信仰心が厚く、神具を洗うスポンジと日常使いの食器を洗うスポンジを分けている人がいることからも、お供え用の器を用意することの重要性を感じられるのではないでしょうか。

注意点④ 下げたお供えは捨てない

神棚から下ろしたお供えには神さまの力が宿っていると考えられているので、捨ててしまわずに、いただいたり使ったりするようにすると良いでしょう。

神棚へのお供えは、神さまに献上する食事です。

そう考えると、お供え物をあげたまま長い時間置いておくことや、あげてはいけないとされている物をあげることは失礼にあたることがよくわかりますね。

神棚は神聖な場所ですから、古い食べ物や飲み物、しなびた榊があるという状態はよくありません。

清潔にすることはもちろん、お供物も常に新しい物があげられている状態を保つことが大切です。

まとめ

神棚は神社からいただくお神札(おふだ)を祀る場所であり、神さまと家庭を結ぶための存在です。

伊勢神宮(神社本庁の本宗)、氏神神社(うじがみじんじゃ:自分が居住している地域を守る神さまを祀る神社)、崇敬神社(すうけいじんじゃ:個人が崇敬する神社)のお神札を祀り、大切に扱うことで、神さまのご利益が得られると考えられています。

神棚には一社造り・三社造り・五社造りなどの種類があるので、設置する場所の広さやお祀りするお神札の数などに合わせて選びましょう。

近年では洋風な神棚やモダン神棚も販売されているので、洋風の部屋に設置する場合はそのようなタイプの神棚を選ぶことで、違和感なくお祀りすることが可能です。

神棚にお供えする物の中で基本となるお供え物は、お水、塩、お米です。

この他に、毎月1日と15日にはお酒と榊を供え、お正月やお祝い事など特別な日には、鏡餅・野菜・果物・お菓子などもお供えすると良いでしょう。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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