2-0.葬儀後に必要なこと

2021.08.21

法要とは?法事との違いや行う意味は?服装や香典に関するマナーも解説

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亡くなった方を供養するために行われる「法要」は読経や焼香を行う仏教儀式ですが、どうして行われるのかと聞かれて具体的に答えられる人は、案外少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、法要の意味や種類、必要な準備やマナーについて詳しくご説明します。

法要とは?どんな意味がある?

法要について理解を深められるよう、法要の意味について、基本的な知識をご紹介します。

法要とは

仏教では、人が亡くなると裁判官のような10人の尊格「十王」に生前の行いを裁かれ、どこに生まれ変わるのか、何に生まれ変わるのかを決められると考えられています。

仏教に詳しい人でなくても知っている閻魔王(えんまおう)は、この十王の中の一人です。

私たちは、悟りの境地に至るまで何度も生まれ変わりながら6つの世界(六道)を巡るとされていて、その6つの世界の中には、人間が暮らす「人道」や悪人が攻め苦を受ける「地獄道」、弱肉強食の動物の世界「畜生道」などがあり、どの世界で何に生まれ変わるのかは、生前の行いによって判断されるというわけです。

法要はこうした仏教の世界観から生まれた儀式です。

法要を行う意味

法要は、亡くなった人が十王の裁きを受けるタイミングに合わせて、遺族が仏教における「善行」を修めることにより、故人の来世がより良くなることを目的として行われます。

故人の来世が決定するまでに最大10人の尊格に裁かれるので、それぞれの裁きのタイミングに合わせて行われる法要も複数回となるわけです。

では、法要と同じような意味として使われることが多い「法事」という言葉の本来の意味はご存知でしょうか。次項では「法要」と「法事」の違いについてご説明します。

法要と法事の違い

一般の方にとって「法要」と「法事」は区別が付き辛く、違いがわからないという声もよく耳にします。また、「法要」と「法事」の違いについて特に考えることなく、同じような意味として使っている人も多いと思います。

法要と法事の違いについて正式にご説明すると、「法要」はお経をあげる、焼香を行うなどの仏教儀式を指し、「法事」は仏教儀式とその後の会食までを含めて表す言葉であるということになります。ちなみに、法要の後に行われる会食はお斎(おとき)と呼びます。

法要には初七日や四十九日などの忌日法要(命日から七日ごとに行う法要)と、一周忌や三回忌などの年忌法要(節目の年の命日に行う法要)がありますので、そちらについては次項で詳しくご説明していきます。

法要の種類について

法要には、忌日法要と年忌法要の2つの種類があるため、日程についてご紹介します。

忌日法要

命日から四十九日まで7日ごとに行われる法要と、命日から100日目に行われる百箇日法要を「忌日法要」と言います。
忌日法要の名称と行うタイミングは以下の通りです。

  • 初七日(しょなのか):命日を1日目として7日目
  • 二七日(ふたなのか):命日を1日目として14日目
  • 三七日(みなのか):命日を1日目として21日目
  • 四七日(よなぬか):命日を1日目として28日目
  • 五七日(いつなのか):命日を1日目として35日目
  • 六七日(むなのか):命日を1日目として42日目
  • 七七日(しちしちにち):命日を1日目として49日目 ※一般的には四十九日と呼びます
  • 百箇日(ひゃっかにち):命日を1日目として100日目

北のお葬式対応エリアの北海道では、葬儀の為に来訪した親族がそのまま留まり初七日法要にも参列する場合があります。

また、四十九日には親族の他に故人と親しかった友人や知人を招いて法事を行う傾向にあります。

そのため、初七日と四十九日は他の法要に比べて参列人数が多く、会食なども行われることが多いため、会場の検討や食事の手配が必要です。

その他の忌日法要については僧侶に読経をいただくのみにとどめ、同居家族や近隣の親戚が集まり小規模に行われることが多いようです。

年忌法要

年忌法要は、定められた年の命日を目安として行う法要です。

一般的に、亡くなってから1年後の「一周忌」、2年後の「三回忌」、6年後の七回忌などが行われ、三十三回忌や五十回忌で弔い上げとします。

年忌法要の名称と、行うタイミングは以下のとおりです。

  • 一周忌:亡くなってから1年後
  • 三回忌:亡くなってから2年後
  • 七回忌:亡くなってから6年後
  • 十三回忌:亡くなってから12年後
  • 十七回忌:亡くなってから16年後
  • 二十三回忌:亡くなってから22年後
  • 二十七回忌:亡くなってから26年後
  • 三十三回忌:亡くなってから32年後
  • 三十七回忌:亡くなってから36年後
  • 四十三回忌:亡くなってから42年後
  • 四十七回忌:亡くなってから46年後
  • 五十回忌:亡くなってから49年後
  • 百回忌:亡くなってから99年後

故人が亡くなってから1年後の命日に行われる一周忌は、親族や故人の友人・知人などを招くことが一般的です。

2年後の三回忌にも親族・友人・知人を招きますが、一周忌に比べるとその範囲は狭まり、6年後の七回忌は僧侶と親族のみで行う傾向があります。

また、十三回忌から二十七回忌は法要を行わないご家庭も多く、行う場合も小規模な法要とすることが一般的です。

地域や宗派によって異なりますが、三十三回忌で最後の弔い上げとするご家庭が多く、その場合は親族の他に故人と親しかった友人などもお招きして会食を行うこともあります。

法要に必要な準備

宗教儀礼である法要のみを行う場合は僧侶への依頼やお布施、供物の準備をすることなりますが、会食を含めた法事を行う場合は、参列者の決定や招待状の作成など必要となる準備が多く、手順が煩雑になりがちなため、法要に必要な準備をポイントを押さえて解説します。

お寺への連絡と日時の決定

はじめにお寺に連絡します。僧侶と相談のうえ日時を決定しましょう。

本来行うべきとされている日が難しい場合、日程を繰り上げます。故人のより良い来世を願うための法事は、故人があの世で裁きを受けるタイミングに間に合わせなければならないので、日程を繰り下げることは避けましょう。

なお、浄土真宗では、亡くなった人はすぐに仏になると考えられており、法事は仏法に触れる場として行われます。そのため、日程を後倒ししても問題はないとされているようです。

会場の決定・会食の手配

法事は自宅、お寺、葬祭ホールなどで行われます。会場を決める際は、人数や交通アクセスなどを考慮して検討します。

会食の手配も必要となりますが、多くの葬儀社では葬儀後の法事・法要の会食準備も可能なため、相談すると良いでしょう。

列席者の決定と連絡

法事は遺族や親族などの身内で行う場合と、友人や知人も招いて行う場合があります。

身内への連絡は電話でも問題ないとされていますが、その他の列席者には案内状を送付します。

引き物の準備

列席者にお渡しする引き物は、いただく香典や供物の額にかかわらず、同じものを人数分用意しましょう。

水引は黒白または双銀の結びきりを用い、表書きは一般的に「志」ですが、地域によっては「粗供養」と表記するケースもあります。

金額の相場は2,000円~5,000円で、品物は食べたり使ったりするとなくなる「消えもの」が良いとされています。

スイーツ、海苔、乾麺、コーヒー、煎茶、お米、洗剤セットなど様々な商品が掲載された引き物のカタログも人気です。

お布施の準備

僧侶にお渡しするお布施やお車代を用意します。僧呂が会食を辞退された場合は御膳料もご用意しましょう。

供花・供物の準備

供花や供物は当日会場に届くように手配します。お供え物はお線香やロウソク、果物やお菓子が一般的です。

当日の流れ

法事当日の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 僧侶入場
  2. 施主挨拶
  3. 読経
  4. 焼香
  5. 僧侶による法話
  6. 施主挨拶
  7. 会食
    ※僧侶によっては法話後に施主挨拶が行われます。

法要の服装マナー

法要の服装マナーは、法要の時期によって異なります。

初七日法要から三回忌までの服装マナー

初七日から三回忌までの服装マナーは葬儀の際と同様です。

男性はブラックスーツ(略礼服)、白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイと靴下、革または合皮の黒い靴を身に着けます。

女性はブラックフォーマル(衿の詰まったデザインを選び、透ける素材や光る素材は避ける)または黒無地のワンピース、黒無地のスーツなどを着用します。

ストッキングは黒、靴は装飾の無い黒のパンプスで、ヒールが高すぎるものや低すぎるものは避けます。ピンヒールではなく太めのヒールを選びましょう。

七回忌以降の服装マナー

七回忌以降の法要は親族のみで行われる場合が多いため、平服で参列することが一般的ですが、平服と言っても普段着という意味ではありません。

男性は黒、濃紺、グレーなど地味な色のスーツに白無地でレギュラーカラーのシャツ、黒又は地味な色のネクタイ、黒無地の靴下、革または合皮の黒い靴といった装いになります。

女性は黒、グレー、濃紺などのワンピースやアンサンブルを着用します。ストッキングは黒、靴はシンプルな黒のパンプスを選びましょう。

法要のお金に関するマナー

施主のマナー

法要を取り仕切る施主は、法要の費用についても負担することになります。法要や法事にかかる費用は主に会食費用、引き物、お布施などがあります。

法要・法事の費用は地域により異なりますが、北のお葬式対応エリアである北海道の目安を以下にご紹介します。

会食費用の目安

会食費用は1名あたり3,000円~1万円程度が相場と言えるでしょう。

法要・法事を行う会場にもよりますが、懐石コースや法要弁当の他に、洋食コースやビュッフェプランなどを用意しているホテルや葬祭ホールもあり、どのような会場でどのような形式の会食を行うかによって費用は大きく異なります。

 お布施の目安

法要の種類によって、お布施の目安は次のとおり異なります。

  • 初七日から百カ日の忌日法要:3~5万円
  • 一周忌法要:3~5万円
  • 三回忌以降の法要:1~5万円

お布施の他にお車代5,000円〜1万円、お斎(会食)を辞退された場合は御膳料として5,000円〜2万円が相場となります。

しかし、お布施の相場は地域や宗派により異なる場合があります。詳しくは菩提寺に確認することをおすすめします。

お布施は、半紙にお札を入れ、奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる和紙で包んでお渡しするのが最もていねいな形とされていますが、無地の白封筒に入れてお渡ししても問題ありません。

開封した時にお札の肖像画が見えるように、中包みや白封筒の表側に肖像画を向けて納めます。表書きは薄墨ではなく黒墨で書きましょう。

お渡しする際は、お布施を切手盆に乗せるか、袱紗に置きます。

切手盆と袱紗どちらを使う場合でも、お坊さんから見て表書きが読める向きにして差し出すようにしてください。

切手盆や袱紗に乗せず、お布施だけを手渡しすることはマナー違反となりますので、必ず切手盆か袱紗を用意しましょう。

なお、袱紗は祝儀、不祝儀、性別で選ぶべき色が変わりますが、紫色の袱紗は場面や性別を選ばずに使うことができるため、一つ持っておくと便利です。

参列者のマナー

法要・法事に参列する際は、不祝儀袋に御供物料(おくもつりょう)を入れて持参します。

宗派を問わずに使える表書きは「御供物料」または「御香料」ですので、覚えておくと安心できるでしょう。

北のお葬式の対応エリアである北海道では、御供物料の目安は5,000円〜、会食を含む法事の御供物料の目安は10,000円~となります。

まとめ

法要は故人のために行われる仏教儀式です。故人が生前の行いについて裁きを受けるタイミングに合わせて、遺族が仏教における「善行」を修め、故人の来世がより良くなることを願います。

「法要」と「法事」は同じような意味として使われることが多い言葉ですが、「法要」はお経をあげる、焼香を行うなどの仏教儀式を指し、「法事」は仏教儀式とその後の会食を含めた呼び方です。

法要・法事を行う際は、僧侶への依頼や会場、会食、引き物の手配など、様々な準備が必要となります。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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