2-0.葬儀後に必要なこと

2023.09.10

散骨は違法になる場合も?可能な場所や方法、事前に知るべき知識!

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散骨は違法になる場合も?可能な場所や方法、事前に知るべき知識!

 

自然に還る弔い方法の一つとして散骨が注目されています。

 

「私が死んだら遺骨を海に撒いてほしい」そう考えている方もいるのではないでしょうか。

 

また、最近ではお墓を準備する費用や管理の必要がないということから選択する場合もあるようです。

 

しかし、散骨を行う際は注意が必要!

 

方法や場所を間違えると違法となってしまう場合があるのです。

 

今回は散骨を検討する際に知っておきたい注意点について解説します。

階段の両脇に見える白い紫陽花

散骨とは?違法になる場合を確認しておこう

散骨とは、埋葬や納骨をせずに粉骨(ふんこつ)し、海や川、山や空中などへ撒く供養方法です。

 

今まで日本では、お墓に入ることが一般的でした。

 

しかし、最近では以下のような理由で散骨を選ぶ人も増えています。

 

  • 経済的な理由からお墓を建てられない
  • どもに墓守の負担をかけたくない
  • お墓を管理する配偶者や子どもがいない
  • 死後は地元の自然に還りたい
  • 宗教にこだわらない弔い方をしてほしい

 

特に都心では墓不足の問題から、お墓を建てるのに高額な費用と維持費がかかることも散骨が増えている要因といえるでしょう。

 

さらに最近では散骨に対応する葬儀会社、専門業者なども登場し、故人や家族の要望に応じてさまざまな散骨方法に対応してくれます。

散骨する前に知っておこう!違法になる場合とは?

散骨自体は違法ではありませんが、対応方法によっては法律違反や条例違反になる可能性があります。

 

特に葬儀会社などを利用せずに個人で散骨を行う場合は、正しい知識を理解していなければなりません。

 

散骨に対しては、以下の法律に抵触しないか注意が必要です。

■刑法190条

 

「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」

 

遺体を勝手にバラバラにしたり、遺体や遺骨の状態のままで海や陸に遺棄したりしては違法となります。

 

■墓地、埋葬等に関する法律第4条

 

「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」

 

埋葬というのは土の中に埋めることです。

 

遺骨を撒くのではなく、地中へ埋めたり土をかけると、この法律に触れて違法となります。

 

散骨は自然葬といわれる葬儀方法で、ほかに樹木葬もあります。

 

散骨と樹木葬の違いについては「自然葬の散骨と樹木葬、その違いは?どちらか迷ったときに」のコラムで紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 散骨が可能な場所や散骨方法を紹介

 

フェリー展望デッキ上からの日本海

散骨が可能な場所や方法について、代表的な次の種類をご紹介します。

  • 海洋散骨・河川への散骨
  • 陸地散骨・山林散骨
  • 空中散骨・宇宙散骨

 

なお、散骨は地域によって、禁止している自治体もあれば、近隣住民とトラブルになりやすい場所もあります。

 

最近では散骨の専門業者も増えてきていますので、相談しながら進めることがおすすめです。

海洋散骨・河川への散骨

散骨場所として一番多く選ばれているのは海です。

 

海への散骨を禁止する法律はありません。

 

ただし、散骨目的で定期航路外の船を出すためには、事前に国土交通省へ不定期航路運行の許可を取る必要があります。

 

不許可の漁船などに乗せてもらって沖へ行き散骨をすると、その漁船が操業違反に問われる可能性があります。

 

また、河川に散骨する場合飲料用に使われる取水河川や地下水源のある場所での散骨はできません

 

海洋散骨に際しては、個別チャータープランなどを企画している業者もありますので相談してみるのも良いでしょう。

陸地散骨・山林散骨

 

山や林などの陸地へ散骨する場合、誰かの所有物となっている敷地への散骨はできません

 

国有地や自分の土地への散骨であれば問題ありませんが、撒いたあとに土をかけたり穴を掘って埋めたりすると「埋葬」扱いとなり、墓地、埋葬等に関する法律第4条に違反してしまう可能性があります

 

また、撒いた骨が風で近隣に飛んだりした場合もトラブルになりますので、こちらも注意が必要です。

 

 地域によっては散骨を禁止しているケースもありますので条例などを確認しておく必要があります。

 

例えば北海道岩見沢市、長沼町、七飯町、長野県諏訪市、埼玉県秩父市、本庄市、東京都などです。

 

これらの自治体で散骨をしたい場合には事前に行政へ申請、許可を受ける必要があります。

 

また、外国でも国ごとにそれぞれ散骨についての決まりがありますので、事前にツアー会社などに確認すると良いでしょう。

空中散骨・宇宙散骨

空や宇宙には敷地の所有権がないので、基本的には散骨が可能です。

 

空中散骨とは、ヘリコプターなどの小型航空機に搭乗して、空から海上へ遺骨を撒く方法です。

 

また、バルーンを使って遺骨を成層圏で散骨するバルーン宇宙葬や、ロケットで遺骨を宇宙にまで打ち上げる宇宙葬も実際に行われています。

散骨する際の注意点やマナー

黄色い薔薇と骨壷

先ほど紹介した通り、さまざまな場所で実際に散骨は行われており、節度を持って実施すれば法律に触れるようなことはありません

 

散骨に際して最低限気をつけたいマナーや注意点は下記の5つです。

  • 遺骨を骨と分からない程度まで砕くこと
  • 散骨は喪服を着用せず平服で行う
  • 環境に配慮して、自然に還らないものは撒かない
  • 観光や産業、生活に支障のない場所で行う
  • 一度埋葬された遺骨を取り出すには許可が必要

遺骨を骨と分からない程度まで砕くこと

散骨では、遺骨をパウダー状まで砕く「粉骨(ふんこつ)」を行った上で撒きます。

 

骨だと分かる状態で散骨すると、見つけた方が驚くことがある上に事件化されてしまう可能性があるため気を付けなければなりません。

 

遺骨をパウダー状まで砕くのは個人ではなかなか難しいので、専門業者へ依頼することをおすすめします。

散骨は喪服を着用せず平服で行う

散骨は、葬祭場などではなく海や山など自然のある場所で行うため、集団で喪服を着用していると違和感があります。

 

一般の方への配慮として喪服ではなく平服で行うのが良いでしょう。

環境に配慮して、自然に還らないものは撒かない

故人の遺品や好きだったものなどを一緒にお供えすることがありますが、散骨の場合は自然環境への配慮のため、自然に還るもの以外は持ち帰りましょう

 

水や酒、お花程度にして、包装していたものや、ペットボトルなどを一緒に捨てることがないように注意してください。

観光や産業、生活に支障のない場所で行う

法律で明確に禁止されていないからといって、地元の方の生活圏内や海水浴場や養殖場など観光、産業などで使用されている場所での散骨はマナー違反です。

 

例えば、北海道の長沼町では散骨をめぐって地元住民とのトラブルが発生したため、散骨を禁止しており、罰則も設けています。

出典:長沼町さわやか環境づくり条例

 

海に散骨する場合でも、漁場の近くなどでは風評被害の恐れもありますので注意が必要です。

一度埋葬された遺骨を取り出すには許可が必要

一度埋葬された遺骨を返却してもらい散骨するには、自治体の許可が必要です。

 

各自治体のホームページに、改葬許可証の申請用紙が掲載されていることもありますし、ない場合は窓口で確認をしましょう。

まとめ:散骨は正しい知識と注意点に気を付ければ違法になりません!

散骨に関する知識や、知っておくべき注意点についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。

 

  • 散骨とは遺骨を砕いて海や陸地に撒く弔い方法。墓を建てるお金がない、少子高齢化で墓守がいない、宗教にこだわらない弔い方法が良い、死後は自然に還りたいといった理由から選ぶ方が増えている。
  •  散骨自体は違法ではない。遺体や遺骨をそのまま遺棄したり、墓地以外の場所へ埋葬(埋める)したりすると違法になるため注意が必要。
  • 生活圏内や観光、産業に影響が出るような場所へ散骨をしない。
  • 散骨はルールを守れば自力でも行えるが、遺骨を細かく粉砕するのは難しく、散骨して良い場所か確認するなどの注意点もある。
  • 現在は散骨に対応している葬儀会社や専門業者なども増えているため、散骨を検討する際は一度相談することがおすすめ。

 

北のお葬式では、無料アフターサポートにより、ご遺骨の供養に関するご相談を承っています。

 

少しでもご不安がある場合はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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