お葬式の準備として「湯灌(ゆかん)」という儀式を行うことがあります。
この湯灌とはどんなことを行うのかご存知ですか?
今回は「湯灌」についてのお話。
湯灌の意味や内容、気になる費用などについてご紹介します。
目次
湯灌(ゆかん)とは、納棺の前に故人の体を清める儀式
とは、納棺前に故人の体を入浴させてきれいにする儀式です。
入浴して体をきれいにした後は白装束を着せ、男性は髭をそり、女性は死化粧を施します。
湯灌の持つ意味、行う理由は下記の3つと言われています。
1)宗教的な意味合い
湯灌には、安らかな成仏のために生前の煩悩や苦しみを洗い流すという宗教的な意味があります。
湯灌によって現世の煩悩を洗い流すことで故人が無事に成仏でき、来世へ旅立つための準備の一つとされています。
また、湯灌の湯には*産湯(うぶゆ)の意味があるとも言われ、「幸せな来世を願う」という意味も込められています。
*産湯:生まれた赤ちゃんが初めてつかるお湯のこと。
2)癒しの儀式としての意味合い
人は一日の終わりにお風呂へ入り、その日の汚れや疲れを洗い流して気持ち良く眠りにつきます。
「一日の終わりに入浴する」という生前の習慣を反映し、一生の仕事を終えた故人への最後の癒しとして入浴をさせてあげるという意味も持ちます。
故人の体を清めて身なりを整えることで生前の故人の姿に近づけ、遺族の悲しみを癒す儀式でもあります。
3)衛生的な理由
遺体からは体液や血が流れ出てしまうことがあり、納棺までの間にそれらの流出や皮膚の変色などでどうしても遺体が汚れてしまうことがあります。
最後に入浴をさせて汚れを洗い流すことで、きれいな体で納棺をすることができる一面もあれば、そういった理由で入浴が難しいケースもあります。その場合は入浴ではなくアルコールでお清めをする古式湯灌も御座います。
湯灌は必ず行わなくてはいけないものではありません
例えば病院で亡くなった場合などは、病院で「エンゼルケア」と呼ばれる死後処置を施してもらえます。
体の洗浄や整髪などを行ってくれるので、衛生的な理由だけであればエンゼルケアだけでも十分と言えるでしょう。
宗教的儀式を重要視される場合や、入浴が好きな故人様だった場合などに、ご遺族の方が湯灌を希望されることが多くあります。
湯灌はどんなことをするの?内容と流れについて
湯灌(ゆかん)で行う内容とその流れをご紹介します。
一般的には納棺師や湯灌師という専門の業者が中心となって行いますが、親族が手伝うことも可能です。
1)湯灌の準備
故人の体の硬直を解きながら服を脱がせ、肌が見えないようにバスタオルをかけます。
湯灌で故人が入浴するバスタブは葬儀会場の設備を利用する場合と、遺体を安置している自宅へ簡易浴槽を持ち込む場合があります。
2)逆さ水を使った洗体
バスタブを使用して入浴していただく洗体湯灌と、たらいに用意した逆さ水とアルコール綿で清める古式湯灌の2種類がありますが、どちらも逆さ水を使ったお清めから始まります。
逆さ水とは、水に熱いお湯を足しながら調整したぬるま湯のこと。
通常お湯の温度を調整する場合にお湯に水を入れながら調整をしますが、これの逆を行うので「逆さ水」と呼ばれています。
この逆さ水を故人の足元から胸元に向かってかけながら体を清めます。
逆さ水をすくうひしゃくも右手ではなく逆の左手で持つのが作法ですので、注意しましょう。
これは「浄土の世界が逆さまになっている」という仏教の言い伝えから来ている「逆さごと」と呼ばれる作法です。
洗体後にシャワーなどで体を流す場合も逆さごとの作法に従い、左足から右足に向かって流します。
3)整髪、顔そり、髭剃り
洗体後は髪を整えてお顔を拭いた後、顔そりなどを行います。
4)着替え、身支度
宗教に合わせた服装に着替えます。
仏教では白い仏衣(ぶつい)、神道では神衣(しんい)、キリスト教ではスーツやドレスを着るのが一般的。
昔は家族が手縫いの仏衣を用意したそうですが、現在では葬儀社で用意することがほとんどです。
そのほか、故人のお気に入りの服を着せることもあります。
以前は浄土真宗で多く見られましたが、お好きだったお召し物や置きせしたい服などがあれば現在は宗教問わずご遺族の希望に沿った形にする葬儀が増えています。
死化粧を施し、ご遺体から体液が流れ出ないように耳や鼻、口などに脱脂綿を詰めます。仏衣や服を着せてから綿花を詰めますとその前に体液が漏れ出す可能性もあるのでこの工程は最初に行います。
湯灌(ゆかん)の費用の目安は?
湯灌はプランの中に含まれている場合もあればオプション選択になる場合も御座います。
プランに含まれている場合でもそれが洗体湯灌なのか古式湯灌なのかしっかりと確認する事も重要です。
湯灌の費用目安
- 湯舟に入浴する洗体湯灌:6~8万円前後
- 清拭中心の古式湯灌:3万円前後
※湯灌の種類や行う内容によって費用は異なります。
北のお葬式では、古式湯灌をオプションで選択していただくことができます。
逆さ水や清拭によるお清め、お顔そり、お化粧、着替えなどを行い、追加料金は3万円です。
まとめ
湯灌とは、故人の生前の苦しみや悩みを洗い流し清めることで、清らかな来世を願う儀式です。
たらいや桶に用意した逆さ水とアルコール綿を使った「古式湯灌」、湯舟に入浴する「洗体湯灌」の2種類があり、体を清めた後は整髪、顔そり、死化粧などを施して棺に納めます。
湯灌はオプションサービスとして葬儀プランに追加されることが多く、古式湯灌は3~6万円程度、洗体湯灌は6~8万円程度が目安です。
日本人にとって入浴は特別な文化でもあります。
人生を終えた故人を癒す意味合いがあるのはもちろん、故人を清め生前の姿に近づけることで遺族の心を癒す意味も持っています。
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