1-1.葬儀の準備

2021.07.15

遺影とは?遺影写真の選び方は?葬儀後の飾り方や処分方法もご紹介

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葬儀の際、故人を偲ぶために祭壇に飾られる遺影写真。

ほぼすべてのお葬式で目にするため、遺影は必ず用意しなければいけないものだと思っている方が多いかもしれませんね。

葬儀では宗教儀式が行われることが多いため、遺影は宗教的に必要なものだと思っている方もいるようですが、実はそうではありません。

ですが、もし葬儀の際に遺影が無ければ、故人の存在を感じにくくなってしまうことは否めません。できれば葬儀には、故人の人柄を感じられるような遺影を用意したいものです。

そこで今回は、遺影の選び方や準備する方法、葬儀後の飾り方などについてお話します。

遺影とは?

遺影は葬儀の際に祭壇に飾る故人の写真です。

故人を偲ぶために飾られる写真なので、なるべく人柄が表れているようなものを選ぶことで、葬儀中も亡き人の存在を身近に感じることができます。

「遺影は葬儀の時に飾るだけだから」と、あまり重要視されないケースもありますが、葬儀が終わった後も仏壇の近くに飾ったり、手元供養のために飾ったりと、身近に長く置かれる方も多いため、できれば遺族が気に入るような写真を選びたいものです。

と言っても、遺影には宗教的な意味は無いため、どうしても見つけられなければ遺影なしで葬儀を行うことは可能です。

また、遺影探しに時間をとられるよりも、少しでも故人様と一緒の時間を過ごしたいという考えを持たれることも間違いではなく、それぞれのご家庭で遺影に対する考え方は異なります。

遺影の選び方について

遺影写真を選ぶ機会はそう何度もあることではありません。ですから、どんな写真を選べば良いのかわからないという方が多いのは当然のことです。どんな写真が使えるのか、故人の服装にマナーはあるのかなど、遺影写真選びについて気になることがあれば事前に確認しておきましょう。

ここからは遺影を選ぶ際に心掛けたいポイントについてご説明します。

背景

遺影用に写真を用意している場合を除けば、背景を含めてすべて気に入る写真を探すのはなかなか難しいことではないでしょうか。

「自宅で撮影した写真は部屋の様子がわかってしまうので抵抗がある」「旅行の移動中でバスの座席が写っていて気になる」など、故人の写りは気に入っていても背景が良くないというのはよくある話です。

ですが、遺影の背景は加工することが可能ですから、背景が気に入らないからと言って諦める必要はありません。遺影写真作成の依頼先にもよりますが、好きな色の背景を選ぶことはもちろん、花畑や富士山など美しい景色に加工することも可能です。

「青が好きだから青い背景にしたい」「明るく送りたいからひまわりの背景にしよう」など、人柄や好みに合わせて選ぶ方も多くいます。

服装

昔は家紋付きの黒い着物やスーツを着た写真を遺影写真として使用することが一般的でしたが、現在はそのような写真を選んだり、着物やスーツに加工したりする方は減っています。

遺影からその人らしさが伝わるよう、ほとんどの方が普段着やお気に入りの服装の写真を遺影写真として利用しています。

とはいえ、普段着にも色々ありますし、あまりにもラフな服装で写っていることが気になるようであれば、遺影写真を作成する葬儀社などに相談することをおすすめします。多くの場合、服装をスーツや着物に加工することが可能ですから、必要に応じて依頼すると良いでしょう。

また、葬儀についての価値観は人それぞれ異なるため、大勢の参列者が集まる葬儀では、スーツや着物を着た遺影を準備することで、安心感を得られる場合もあります。

撮影時期

日ごろから写真を撮る習慣があれば遺影写真を選ぶ際も選択肢が多いため、亡くなったご年齢に近い時期の写真を選ぶことは難しくないと思います。

ですが、あまり写真を撮ることが好きではない方や写真を撮る機会がなかった方だと、近影を見つけることが難しい場合があります。

遺影写真の撮影時期から亡くなったご年齢まで年数が経ちすぎている場合、中には違和感をおぼえる方もいると思いますが、遺影の撮影時期にこれといった決まりがあるわけではありません。

中には、どうしても近影が見つからず若い頃の写真を利用する方や、ご本人やご家族が希望して若い頃の写真を飾る方もいます。

また、近影はあっても、闘病などが原因で、元気な頃の様子とは変わってしまっていることも珍しくありません。

お亡くなりになるご年齢にもよりますが、老齢で亡くなった場合、亡くなる前10年以内であれば、それほど大きな違和感はないと言えるのではないでしょうか。

サイズ

祭壇に飾る遺影のサイズは一般的に四つ切り、又はA4サイズで作成します。四つ切りは254mm×305mm、A4は210mm×297mmです。

祭壇に飾る遺影は、ある程度離れた場所からでもはっきり故人の顔が見えるようにする必要があるため、このように大きなサイズで作成します。

大きなサイズの遺影を作るためには、元となる写真を大きく引き伸ばす必要があるため、故人のお顔が大きく、ハッキリと写っている写真を選ぶことが大切です。

顔が小さく写っている写真や、ピントがぼけている写真を選んでしまうと、引き伸ばした時に故人の顔がきれいに見えなくなってしまいます。

遺影写真を選ぶ時には、顔が大きく写っていてピントが合っている写真を選びましょう。

フレーム

遺影のフレームと言えば、以前は黒の漆塗りが定番でしたが、近年では黒の漆塗りにこだわらず、シルバーや淡いピンク、淡い紫などのフレームも使用されています。

また、祭壇にモニター遺影や電光遺影が備えられている葬祭ホールも増えています。

モニター遺影や電光遺影を利用して遺影写真を飾る場合、自宅用の遺影は別途作成することになるため、自宅に飾ることに重点を置いてフレームを選ぶことも可能ですので、故人の人柄や好みはもちろん、ご自宅の雰囲気に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。

なお、遺影を作成するための写真は写真用の光沢紙にプリントしたものか、スマートフォンやデジタルカメラの撮影データを使用しましょう。

普通紙にプリントした写真や、表面に凹凸がある絹目の写真を遺影にすると、綺麗な遺影写真に仕上がらないためおすすめできません。

良い遺影写真を準備するには?

遺影写真を選ぶためには、当然ですが写真を撮影しておく必要がありますね。

良い遺影写真を準備するためには、日常の中で写真を撮影する習慣を持つ、プロのカメラマンに依頼するなどの方法があります。それぞれ詳しくご説明します。

日頃から頻繁に写真を撮っておく

良い遺影写真を準備するためには、やはり日頃から写真を撮影しておくことが大切です。ちょっとした外出や家族の食事会などで、お顔にフォーカスした、表情がよくわかる写真を撮ることを習慣にしてみると良いでしょう。

「毎年旅行に行くから、旅行の写真が使えるはず」と思っていても、旅行の写真は風景がわかるように撮影することが多く、顔が大きくはっきり写っている遺影向きの写真が見つからないということもあります。

顔を大きく映すのは気恥ずかしく感じてしまいますが、人柄が感じられる写真は遺された家族にとって大切な思い出の品になるはずですから、パートナーや子ども、孫のためにも残しておくことをおすすめします。

気の置けない家族や友人と過ごす時間を思い出に残すという気持ちで、楽しい時やリラックスしている時に撮影してみてはいかがでしょうか。

SNSを利用している方はプロフィール写真と兼用できるように、年に1度、例えば誕生日の時などに撮影しておくというのも良いのではないでしょうか。

元気なうちに「遺影はSNSのプロフィール写真を使ってね」と家族に伝えておくことで、ご自身もご家族も安心できますね。

遺影撮影サービスで生前遺影を撮影する

近年では、フォトスタジオで遺影写真を撮影する方も増えてきたようです。

遺影撮影プラン、肖像写真プランなど、遺影写真に適した写真の撮影に対応しているスタジオでは、メイクやヘアメイク、和服の着付けといったオプションメニューが用意されている場合も多く、プロの手で撮影された遺影は満足できる仕上がりが期待できますね。

葬儀社でも生前遺影撮影会などのイベントが開催されることがあるため、それを利用して遺影を撮影しておくのも良いでしょう。

葬儀後の遺影の飾り方は?

遺影はどこに、いつまで飾れば良いのでしょうか?家族が亡くなって葬儀を経験したことがなければ、「葬儀後の遺影の取り扱いについては考えたことも無い」という方がほとんどだと思います。

この項では遺影を飾る期間や飾り方についてご説明します。

遺影を飾る時期

遺影には宗教的な意味が無いので飾る時期に決まりはありませんが、葬儀後は自宅に「後飾り祭壇」を置き、一時的に遺骨を祀るため、その「後飾り祭壇」に遺影を飾ることが一般的です。

後飾り祭壇は四十九日まで置き、その後は片づけることになるため、後飾り祭壇に遺影を飾るのは四十九日までとなります。

その後も仏壇の近くなどに遺影を飾り続ける方が多いのですが、処分しても問題はありません。

遺影には宗教的な意味が無いといっても、故人を偲ぶために作成した遺影ですから、敬意を持って扱いたいですね。

遺影を飾る場所

前述したように、四十九日までは後飾り祭壇に遺影を飾ることが一般的です。四十九日の後は仏壇がある部屋に飾る方が多いようですが、サイズが大きく、飾る場所が確保できないという場合もあります。

昔と違って仏間がない家も増えた近年の住宅事情に合わせて、L版や2L版といった小さな遺影を用意して、仏壇の近くに飾る人も増えています。

中には、遺影写真を飾らずに、データ化してパソコンなどに保存される方もいます。

遺影は、飾る期間と同様に飾る場所にも決まりはないため、故人を偲ぶ気持ちを大切に、それぞれのご家庭の事情に合わせて対応することをおすすめします。

保管した方が良い場合

繰り返しになりますが遺影には宗教的な意味はなく、保管しなければならないという決まりはありません。

四十九日法要で本位牌に魂入れ(開眼供養)をした後は、本位牌が故人の魂が宿る依代(よりしろ)となり、魂と繋がっていると考えられています。

四十九日以降の法要には遺影を持参する方も少なくなりますが、四十九日以降の法要にも遺影を持参したい方や故人にまつわる集まりなどに飾りたい方、ご自宅に遺影を飾っておきたいという方は遺影を保管すると良いでしょう。

遺影の処分方法は?

遺影を処分する場合、各自治体の指示に従ってゴミとして処理することもできますが、この方法には抵抗を感じるという方も少なくないと思います。

ゴミとして処理することに抵抗を感じる方は、お寺や神社などに遺影の供養をお願いすることも可能です。費用はかかりますが、きちんと供養して処分してもらう方が抵抗を感じなくてすむという方にはおすすめできる方法です。

地域によってはお焚き上げの専門業者がありますから、そのような業者に依頼することも可能です。

近くにお焚き上げの業者が無くても、インターネットで利用できるサービスもあるため、選択肢のひとつとして覚えておくと良いのではないでしょうか。

どの方法で処分する場合も、故人への感謝や敬意の気持ちを持って行う事が大切だと言えるでしょう。

まとめ

葬儀の際に祭壇に飾る故人の遺影写真は、葬儀が終わった後も自宅に長く飾り続ける方が多いため、故人の人柄が表れている写真を選びましょう。

顔が小さく写っている写真や、ピントがしっかり合っていない写真を遺影にするときれいに仕上がらないため、顔が大きく写っていてピントが合っている写真を使うことが大切です。

日常的に写真を撮る習慣がないと、遺族が遺影写真を探せずに困ることがあります。家族との思い出を残す気持ちで日頃から写真を撮っておくと良いでしょう。

遺影に宗教的な意味は無いので、飾る場所や期間に定めはありません。処分する際はゴミとして廃棄することも可能ですが、抵抗がある場合はお寺や神社、お焚き上げ業者に依頼するという方法もあります。

この記事を書いた人

葬祭ディレクター塩谷 未来

私は、『笑顔』で送る葬儀を心がけております。葬儀を、哀しい思い出として終わってほしくありません。大好きだった、大切だった人の最期は涙だけでなく、感謝の気持ちを伝え、『ありがとう、いってらっしゃい』という気持ちで送り出せる葬儀にしたいのです。
時には、私自身もご家族と同じように涙を流すこともあります。でも、その方と過ごしてきた日々には、明るく素敵な思い出も沢山あったのだと思います。その思い出を、最期こそ楽しくて笑いあった日々として思い出していただきたいのです。2日間という短い間ですが、最期のお別れを塩谷という担当者でよかったと思っていただける葬儀になるよう努めてまいります。

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