「住み慣れた家で見送ってあげたいけれど、自宅で葬儀ってできるのだろうか」「費用は抑えられると聞くけれど、近所への配慮や準備が大変そう」
自宅葬を検討する際、こうした疑問や不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自宅葬のメリット・デメリット、事前に確認しておきたいポイント、費用相場や当日の流れについて解説します。対応できる葬儀社の選び方や参列者側のマナーもあわせて紹介していますので、いざというときの参考にしてみてください。
目次
自宅葬とは
自宅葬とは何か、まずは基本的な特徴から見ていきましょう。
- 少人数でゆっくり見送りたい家族に向いている
- 田舎でおこなわれることが多い
どのような家庭に向いているか、地域差もあわせて確認していきます。
少人数でゆっくり見送りたい家族に向いている
自宅葬は、斎場や葬儀会館ではなく、自宅で執りおこなう葬儀の形式です。
儀式の内容自体は一般的な葬儀と大きく変わりませんが、会場が自宅になる分、時間の制約が少ない傾向です。
少人数でゆっくり故人を見送りたい家族に向いていますが、祭壇の設営や参列スペースの確保等が難しいケースも多いため、斎場を利用する葬儀が主流になっています。
田舎でおこなわれることが多い
自宅葬は、都市部より地方や田舎でおこなわれることが多い傾向にあります。敷地や住宅に余裕があり、駐車場や近隣との距離を確保しやすいことに加え、地域の慣習として自宅で見送る文化が根付いていることが主な理由です。
都市部では、スペースの確保が難しいことや近隣への配慮が必要になることから、自宅葬自体が難しいケースも多くなっています。
自宅葬のメリット
自宅葬には、斎場を利用する葬儀にはない魅力があります。ここでは、次の5つを紹介します。
- 住み慣れた家で最後のお別れができる
- 式場費用がかからない
- 時間や進行の制約が少ない
- 近隣住民が参列しやすい
- 遠方の親戚にも場所がわかりやすい
一つずつ見ていきましょう。
住み慣れた家で最期のお別れができる
自宅葬では、故人や家族が住み慣れた家で、最後の時間を過ごすことができます。移動の負担が少ないため、高齢の遺族や小さな子どもがいる家庭でも、落ち着いて故人と向き合いやすくなります。
故人が普段座っていた席や、愛用していた道具に囲まれながら見送ることができるのも、自宅葬ならではの魅力といえるでしょう。
式場費用がかからない
自宅葬は斎場や葬儀会館を利用しないため、式場利用料がかかりません。葬儀費用のなかでも大きな割合を占める会場費が不要となるため、総額を抑えたい家庭にとっては大きなメリットになります。
会場までの送迎費用が発生しない点も、費用を抑えやすい要因のひとつです。詳しい費用相場は、後述の「自宅葬の費用」で解説します。
時間や進行の制約が少ない
斎場を利用する場合、ほかの葬儀の予約状況によって利用できる時間が限られることがありますが、自宅葬であればそうした制約が少なくなります。
好きだった音楽を流したり、思い出の品を飾ったりと、斎場では難しい演出を取り入れやすい点も特徴です。
近隣住民が参列しやすい
自宅での葬儀は、近所に住む人にとって足を運びやすく、地域とのつながりが深い故人であれば、より多くの人に見送ってもらいやすくなります。長年の近所付き合いのなかで顔を合わせてきた方々にとっても、気負わず立ち寄れる距離感は安心材料になります。
斎場までの移動が難しい高齢の近隣住民にとっても、参列のハードルが下がる点はメリットといえるでしょう。
遠方の親戚にも場所がわかりやすい
斎場や葬儀会館と違い、自宅は遠方から来る親戚にとっても場所がわかりやすく、迷わずたどり着きやすい利点があります。高齢の親族が参列する場合や、土地勘のない親戚が多い場合には、大きな利点といえるでしょう。
住所を伝えるだけで案内できるため、道順の説明に手間取る心配も少なくなり、すでに自宅の場所を知っている親戚や知人なら安心して来てもらいやすくなります。
自宅を訪れたことがある親戚や知人にとって、場所がわかりやすいというメリットもあります。斎場のように初めての場所へ向かう必要がないため、遠方から来る方や高齢の方の負担も少なくて済みます。
自宅葬のデメリット・注意点
メリットがある一方で、事前に知っておきたい負担や制約もあります。ここでは、次の3つを紹介します。
- 準備・片付けの負担が大きい
- 近隣への配慮が必要
- 参列できる人数が限られる
検討する際は、あわせて押さえておきましょう。
準備・片付けの負担が大きい
祭壇の設営や家具の移動、式後の片付けなど、斎場であれば葬儀社が対応してくれる作業の一部を、遺族が担うことがあります。搬入経路の確保や、式のあとに部屋を元どおりに戻す作業まで含めると、想像以上に体力を使う場面も出てくるでしょう。
参列者への接待(お茶出しや食事の準備など)も、遺族の負担になりやすい部分です。どこまでを葬儀社に任せられるか、契約前に作業範囲を確認しておくと、当日の負担を見込みやすくなります。
近隣への配慮が必要
自宅葬では、弔問客の出入り・駐車・話し声などで、普段より物音や人の気配が近隣に伝わりやすくなります。前日までに一言挨拶をしておくと、当日の理解を得やすいでしょう。
数日にわたって人の出入りが続くこともあるため、隣接する住戸には早めに伝えておくと安心です。
特に駐車スペースが限られる住宅街では、路上駐車が近隣トラブルの原因になりやすいため、参列者への駐車場所の案内もあわせて済ませておきましょう。
参列できる人数が限られる
自宅葬では、部屋の広さによって参列できる人数が限られます。祭壇や棺を置くスペースも必要になるため、実際に入れる人数は想像より少なくなりがちです。
そのため、参列者は家族やごく親しい親戚に絞ることになり、故人の友人や知人を招くことができない場合もあります。後から訃報を知った方が「最後に会いたかった」と感じることもあるでしょう。
参列できなかった方のために、後日、弔問を受け付けたり、お別れの会を開いたりする方法もあります。
自宅葬をおこなう前に確認しておきたいこと

自宅葬を選べるかどうかは、住まいの環境に左右されるため、事前に次の4つを確認しておきましょう。
- 祭壇を設置できるスペースがあるか
- 棺を搬入できる経路があるか
- 集合住宅の管理規約に制約はないか
- 駐車場は確保できるか
自宅葬を契約する前に、一つずつ確認しておきましょう。
祭壇を設置できるスペースがあるか
祭壇や棺を置くスペースがあるかどうかを確認します。和室や広めのリビングなど、ある程度の広さが確保できる部屋が必要です。
目安として、6~8畳程度の空間があると、祭壇と棺を並べても窮屈になりにくいでしょう。参列者が座るスペースも必要になるため、隣接する空間もあわせて確保できるか考えておきましょう。
棺を搬入できる経路があるか
玄関や廊下、階段の幅によっては、棺を室内まで運び入れられないことがあります。角を曲がる場所では、棺の向きを変えるためのスペースも必要です。マンションなどの集合住宅では、エレベーターのサイズも含めて確認しましょう。
搬入経路に不安がある場合は、事前に葬儀社のスタッフに実際の寸法を測ってもらうと安心です。
集合住宅の管理規約に制約はないか
マンションなどの集合住宅では、管理規約で葬儀の実施自体が禁止されていたり、共用部分の使用に制限があったりすることがあります。自宅葬を検討する場合は、事前に管理会社や管理組合に確認しておきましょう。
エレベーターや廊下といった共用部分を使う際の養生(傷や汚れを防ぐための保護)が必要になるケースもあります。
駐車場は確保できるか
弔問客の車や、葬儀社の寝台車・霊柩車が停められるスペースを確保しておく必要があります。自宅の駐車場だけで足りない場合は、近隣のコインパーキングなども含めて事前に調べておくと安心です。
参列者に案内する際は、駐車場の場所や台数の目安をあわせて伝えておくと、当日の混乱を防げます。路上に長時間駐車することは避けましょう。
自宅葬の費用
自宅葬の費用がどの程度になるか、内訳とあわせて見ていきましょう。ここでは、次の3つを紹介します。
- 自宅葬の費用相場
- 自宅葬の祭壇の費用と大きさ
- 自分たちですべて手配するのは難しい
順番に確認していきます。
自宅葬の費用相場
自宅葬の総額平均は、61.6万円(※)です。式場を利用しないため会場費がかからず、一般葬や斎場を使う家族葬より費用を抑えやすい傾向にあります。
ただし、祭壇のグレードや参列人数、オプションの内容によって金額は変動するため、複数の葬儀社から見積もりを取って比較するとよいでしょう。見積もりを比較する際は、搬入や養生にかかる追加費用の有無もあわせて確認しておくと安心です。
※コープの家族葬ウィズハウス2025年度葬儀実績より算出(税別)
※お布施・火葬料は含まない
自宅葬の祭壇の費用と大きさ
自宅葬で使う祭壇は、部屋の広さに合わせて、斎場で使うものよりコンパクトなサイズを選ぶのが一般的です。費用は祭壇のグレードによって幅があり、シンプルなものであれば費用を抑えられます。
部屋の寸法を葬儀社に伝えておくと、設置可能な祭壇のサイズを提案してもらいやすくなります。生花を多く使う祭壇ほど費用が上がりやすいため、予算に応じて花の量や種類を相談するとよいでしょう。
自分たちですべて手配するのは難しい
自宅葬なら、葬儀社に依頼せずにできそうだと思う人もいますが、専門的な知識や手続きが必要となるため、難しいというのが実情です。
「できることは自分たちでやって費用を抑えたい」といった希望がある場合、事前相談を利用して、複数の葬儀社に相談することをおすすめします。
自宅葬の流れ

自宅葬は、斎場を使う葬儀と大まかな流れは変わりませんが、会場を自宅で整える分、準備しておきたいことが増えます。ここでは、準備リストと全体の流れをご紹介します。
- 自宅葬の準備リスト
- 逝去〜安置・葬儀社との打ち合わせ
- 納棺〜通夜・通夜振る舞い
- 葬儀・告別式〜精進落とし
まずは、必要な準備から確認していきましょう。
自宅葬の準備リスト
自宅葬には多くの準備が発生します。
- 遺体搬送の手配
- 自宅安置のスペース確保
- ドライアイスの準備
- 僧侶への読経依頼
- 死亡届の提出
- 火葬場の予約
- 弔問客を迎える準備
- 香典返しの準備
- 祭壇・遺影・棺・骨壺の用意など
前述の通り、これらを自分たちだけでおこなうのは、時間的にも手続き的にも難しいのが実情です。
北のお葬式では、自宅への安置から火葬まで、最小限のサービスが含まれた「火葬式プラン」をご用意しています。無理にすべてを自分たちで抱え込まず、必要な部分は葬儀社に任せることで、負担を軽減することができます。
逝去〜安置・葬儀社との打ち合わせ
逝去後、遺体を自宅へ搬送・安置し、葬儀社と打ち合わせをおこないます。日程や祭壇の配置、必要な準備物などを、自宅の間取りを踏まえて相談します。ご遺体を納めた棺を自宅から出せるかどうかは、必須の確認事項です。
駐車場の状況や、近隣への挨拶をいつ・誰がおこなうかも、この段階で決めておくとスムーズです。
納棺〜通夜・通夜振る舞い
打ち合わせで決めた日程に沿って、自宅で納棺をおこない、通夜、通夜振る舞いへと進みます。
料理は仕出し弁当などを利用すれば、調理の手間をかけずに用意できます。
葬儀・告別式〜精進落とし
翌日、自宅で葬儀・告別式を執りおこない、出棺、火葬、収骨という流れで進みます。
収骨を終えたら、自宅に戻って遺骨・位牌・遺影を安置し、還骨法要(かんこつほうよう)をおこなうのが一般的な締めくくりです。
精進落としは、自宅でおこなう場合と、外部の会場を利用する場合があります。
自宅葬に対応できる葬儀社の選び方
自宅葬を依頼する葬儀社は、以下のポイントを押さえて選ぶことが大切です。
- 自宅葬の実績がある葬儀社に確認する
- 早い段階で相談しておく
葬儀社選びの参考にしてみてください。
自宅葬の実績がある葬儀社に確認する
自宅葬は、すべての葬儀社が対応しているとは限りません。問い合わせの際は、自宅葬の実績があるかどうかを複数社に確認し、比較検討するとよいでしょう。
実績が豊富な葬儀社ほど、住宅事情に応じた祭壇の提案や搬入経路の確認もスムーズに進みやすくなります。
早い段階で相談しておく
自宅の環境(部屋の広さ・搬出入経路・駐車場の有無など)を葬儀社に伝え、対応可能かどうかを判断してもらいましょう。確認や相談は、早い段階でおこなうほど、選べる葬儀社やプランの選択肢が広がります。
自宅葬のマナー
自宅葬をしたことがない場合、参列範囲やマナーを知っておくことも大切です。ここでは、遺族側と参列者側、双方のマナーについても解説します。
- 参列者はどこまで呼ぶか
- 服装は喪服が基本
- 香典・供物・弔問を辞退してもよい
順に見ていきましょう。
参列者はどこまで呼ぶか
自宅葬は、自宅の広さに応じて、無理のない人数に絞るのが現実的ですが、参列者の範囲に明確な決まりはありません。家族や親しい親族、近隣住民など、故人の遺志や遺族の判断で決めて問題ありません。
案内する際は、駐車場の台数など会場の制約もあわせて伝えておくと、参列者側も予定を立てやすくなります。
服装は喪服が基本
自宅葬であっても、参列者の服装は一般的な葬儀と同様に喪服が基本です。遺族・喪主自身も、服装を簡略化する必要はなく、通常の葬儀と同じ喪服を着用します。
ただし、遺族側に「平服で参列してほしい」などの希望があれば、その旨を訃報連絡の際に明確に伝えましょう。
香典・供物・弔問を辞退してもよい
自宅葬では、香典や供物を辞退することもできます。葬儀後の弔問についても、遺族の負担が大きくなる場合は、辞退の意向を伝えて問題ありません。
辞退する場合は、訃報連絡の段階でその旨を明確に伝えておくと、参列者も準備の判断がしやすくなります。辞退の範囲(香典のみか、供花・供物も含むか)まで具体的に伝えておくと、当日の対応にも迷いが生じにくくなるでしょう。
自宅葬に関するよくある質問
ここでは、自宅葬についてよく寄せられる疑問に、Q&A形式でお答えします。
- 家族だけの自宅葬にしてもいい?
- 葬儀社を通さず、家族だけで自宅葬はできる?
- 賃貸住宅でも自宅葬はできる?
順に回答します。
家族だけの自宅葬にしてもいい?
家族だけで自宅葬をおこなうことも珍しくありません。参列者を絞る分、準備や当日の対応も少なくなり、遺族の負担を抑えやすくなります。
接待の準備や駐車場の手配といった、参列者数に比例する作業自体が減るため、初めて喪主を務める方にも選びやすい形式です。近隣への配慮も最小限で済むため、静かに見送りたいという希望とも相性がよい形といえます。
葬儀社を通さず、家族だけで自宅葬はできる?
法律上、葬儀社を必ず利用しなければならないという決まりはなく、家族だけで自宅葬をおこなうこと自体は不可能ではありません。ただし、遺体の搬送や安置、死亡届の提出、火葬場の予約など、専門知識や手続きが必要な作業が多く、実際にすべてを自分たちだけでおこなうのは簡単ではありません。
必要な部分だけ葬儀社に依頼し、それ以外は自分たちで対応するのが現実的でしょう。
賃貸住宅でも自宅葬はできる?
賃貸住宅の場合、管理会社や大家の許可、契約内容によって、自宅葬ができるかどうかが変わります。集合住宅では管理規約で禁止されていることも多いため、事前の確認が必要です。
許可が得られた場合でも、原状回復の範囲について、あらかじめ管理会社と取り決めておくと、退去時のトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ:自宅葬を検討するなら早めの相談を
自宅葬は、住み慣れた家で故人を見送れる一方、スペースや近隣への配慮など、事前に確認すべきことも多くあります。費用を抑えられる傾向にありますが、祭壇のグレードや準備の内容によって変動するため、見積もりをよく確認しましょう。
自宅の環境によって対応できるかどうかが変わるため、検討する場合は事前に葬儀社へ相談することをおすすめします。
北のお葬式は、札幌市を中心に、旭川市・函館市・北見市など北海道全域に対応する葬儀社です。搬入経路についても、豊富な実績をもとにアドバイスいたします。
対面での相談を希望する場合は、ご指定の場所へおうかがいすることも可能です。自宅葬を検討している場合は、無料相談をご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。





